リピート率が低い飲食店は「顧客管理不足」を疑おう。お客様に覚えてもらう店長の仕事

営業・マーケティング

「新規のお客様は来るのに、なかなかリピーターが増えない」

「一度来店したお客様が、次にいつ来るのか分からない」

「料理や接客には問題がないはずなのに、リピート率が上がらない」

飲食店の経営者や店長から、こうした相談を受けることがあります。

リピート率が低いとき、「料理の味」や「価格」、「接客」に原因を探しがちです。しかし、もちろんそれらに問題がある場合もありますが、見落とされやすいのが顧客管理です。

お客様が再び来店するためには、「また行きたい」と思うことに加えて、「この店に行こう」と思い出してもらう必要があります。

そのためには、お客様との関係を一度きりの取引で終わらせず、継続的な関係として捉えることが重要です。

特に大切なのは、**「お客様は自分を覚えてくれている人のところに行く」**という視点です。

料理がおいしい店はたくさんあります。

価格が安い店もあります。

しかし、「前に来たことを覚えてくれている」「自分の好みを知ってくれている」「また来てくれたことを喜んでくれる」。

そんな店には、価格や料理だけでは生まれない「ここに来たい」という理由が生まれます。

今回は、飲食店のリピート率が低い原因を「顧客管理」という視点から考え、店長が現場で取り組める改善方法を解説します。


リピート率が低いことで起こる3つの問題

1.毎月、新規客を集め続けなければならない

リピート率が低い店舗では、新規客への依存度が高くなります。

10人のお客様が来店して、そのうち8人が一度きり。

その状態なら、翌月も新しい8人を集めなければ売上を維持できません。

広告、SNS、クーポン、キャンペーンなど、新規集客のための活動が必要になります。

一方、リピーターが増えれば、過去に来店したお客様が再び売上をつくってくれます。

もちろん新規集客も重要です。

しかし、

「新規客を増やすこと」と「一度来たお客様にもう一度来てもらうこと」

を両方考える必要があります。

2.広告費や販促費が膨らみやすい

新規客を獲得するには、広告や販促が必要になる場合があります。

ところが、一度来店したお客様との関係を築けていなければ、せっかく獲得したお客様が流出してしまいます。

これは、バケツに水を入れながら、底から水が漏れているようなものです。

集客を増やす前に、

「一度来てくれたお客様は、その後どうなっているのか?」

を確認することが重要です。

3.店舗とお客様との関係が浅くなる

リピート率が低い店舗では、お客様との接点が毎回ゼロから始まります。

「初めまして」

「何名様ですか?」

「ご注文は?」

という関係を繰り返します。

これでは、店舗とお客様の間に関係性が育ちにくくなります。

反対に、

「いつもありがとうございます」

「前回もこの商品を頼まれていましたよね」

「今日はいつもの席をご用意しています」

と言われれば、同じ商品を提供していても体験は大きく変わります。


理想は「また来たい」だけでなく「また会いたい」と思われる店

リピート率を高めるために重要なのは、単純に「また来たい」と思わせることだけではありません。

「この人に会いたい」

と思ってもらえることも大きな価値になります。

例えば、飲食店でこんな経験はないでしょうか。

以前行った店で、

「○○さん、今日もありがとうございます」

と声をかけてもらった。

自分が好きな商品を覚えてくれていた。

前回話した内容を覚えていてくれた。

少し久しぶりに行ったら、

「お久しぶりですね」

と言ってくれた。

こうした小さな積み重ねが、「自分のことを大切にしてくれている」という感覚につながります。

お客様は、必ずしも「一番おいしい店」だけを選んでいるわけではありません。

「自分を覚えてくれている店」も選ぶのです。

だからこそ、リピート率を上げるには「顧客管理」を単なるデータ管理として考えないことが重要です。

顧客管理とは、お客様との関係を育てるための仕組みでもあります。


なぜリピート率が低いのか?会社側にある3つの課題

1.顧客情報を集めているだけになっている

会員登録や予約システムなどで、

  • 氏名
  • 来店日
  • 注文履歴
  • 電話番号
  • メールアドレス

などを管理している店舗も多いでしょう。

しかし、データが蓄積されているだけでは、リピート率は自然には上がりません。

大切なのは、

「この情報を使って、お客様にどんな体験を提供するのか?」

です。

例えば、

「前回注文した商品」

「好きな料理」

「利用目的」

「誕生日」

「家族構成」

など、お客様との会話や接客から得られる情報を、適切な範囲で活用することができます。

2.再来店のタイミングを設計していない

「また来てくださいね」

だけで終わっていないでしょうか。

お客様が次回来店するきっかけを、店舗側から設計することもできます。

例えば、

「次回は季節限定の商品が始まります」

「次は○月頃に旬の食材が変わります」

「次回来店時にはこの商品もおすすめです」

といった案内です。

重要なのは、単純な値引きではありません。

「次に来る理由」をつくることです。

3.店長だけが顧客情報を把握している

店長が常連客を覚えていても、店長が休みの日には接客できません。

これでは、店舗としての顧客管理になりません。

多店舗展開をしている会社なら、さらに問題は大きくなります。

「このお客様はいつも○○さんが接客している」

「店長は知っているけど、他のスタッフは知らない」

という状態では、顧客との関係が個人に依存してしまいます。

顧客との関係性も、店舗の仕組みとして共有する必要があります。


店長自身が抱えやすい3つの課題

1.「忙しいから覚えられない」と考えてしまう

確かに、飲食店の現場は忙しいものです。

すべてのお客様を覚えるのは現実的ではありません。

しかし、だからこそ「全部覚える」のではなく、優先順位をつけることが重要です。

例えば、

「頻繁に来店してくれるお客様」

「売上への貢献度が高いお客様」

「店舗のファンになってくれそうなお客様」

など、重点的に関係を築くお客様を考えます。

2.顧客管理を「事務作業」だと思っている

顧客管理という言葉から、パソコンにデータを入力する仕事をイメージする人もいます。

しかし、本質はそこではありません。

顧客管理の目的は、

「お客様を知り、次の来店でより良い体験を提供すること」

です。

例えば、

「前回はお子さんと一緒でしたね」

という一言が言えるだけでも、お客様の感じる価値は変わります。

3.売上だけを見てリピート率を見ていない

売上が上がっていると、店舗が順調だと思ってしまいます。

しかし、その売上が、

「新規客が増えたからなのか」

「既存客が何度も来てくれているからなのか」

によって意味は変わります。

店長が経営者視点を持つためには、売上だけでなく、

  • 新規客数
  • リピート率
  • 再来店までの日数
  • 来店回数
  • 顧客単価
  • 常連客の構成

などを見ることも重要です。


リピート率を高めるための5つの取り組み

①「誰が来たか」を記録する

まずは顧客情報を残します。

大げさなシステムを導入する必要はありません。

まずは、

「いつ来たか」

「何を注文したか」

「どんな会話をしたか」

など、次の接客に役立つ情報を記録するところから始めます。

②「次回の来店理由」をつくる

「また来てください」ではなく、

「次は○○があります」

「来月は○○を予定しています」

など、具体的な理由を伝えます。

これは営業・マーケティングの考え方ともつながります。

③ スタッフ全員で顧客情報を共有する

顧客管理は、店長だけが頑張っても続きません。

スタッフが、

「このお客様にはこういう接客をすると喜ばれる」

と理解できる状態をつくります。

これも飲食人材育成の一部です。

単に「笑顔で接客してください」と教育するのではなく、

「このお客様には、前回の話を覚えておくと喜んでもらえる」

という具体的な行動まで落とし込みます。

④ 「覚えている」ことを言葉にする

覚えているだけでは、お客様には伝わりません。

「前回もこちらでしたよね」

「お久しぶりです」

「いつもありがとうございます」

など、自然な範囲で言葉にします。

お客様が「自分のことを覚えてくれている」と感じることが大切です。

⑤ リピート率を測定して改善する

最後に、必ず測定します。

「最近、常連が増えた気がする」

ではなく、

「初回来店者のうち、何%が再来店しているか」

を確認します。

数字を見れば、

「どの施策が効果的だったのか」

「どの時期に再来店が減っているのか」

などを考えられます。

店長が数字を「評価されるためのもの」ではなく、「改善するためのもの」と捉えられるようになることも重要です。


「名前を覚える」だけで変わった飲食店の事例

ある飲食店では、新規客は一定数来店するものの、リピート率が伸び悩んでいました。

店長は、

「料理の品質には問題ない」

「価格も周辺と比べて高くない」

と考えていました。

そこで、一度顧客との関係性を見直しました。

すると、スタッフはお客様の顔を覚えていても、それを店舗として共有していないことが分かりました。

店長が休みの日になると、

「いつも来てくれるお客様なのに、誰も分からない」

という状態だったのです。

そこで、重点的に関係を築きたいお客様について、

「名前」

「よく注文する商品」

「来店目的」

「前回の会話」

などを共有するようにしました。

さらに、スタッフには、

「情報を覚えること」ではなく、

「次に来たとき、前回より少し喜んでもらうこと」

を目的として伝えました。

すると、スタッフから、

「○○さん、今日来ました」

「この前おすすめした商品を気に入ってくれていました」

「次は家族で来ると言っていました」

といった報告が増えていきました。

ここで起きているのは、単なる顧客管理ではありません。

スタッフ自身が、お客様との関係をつくることに当事者意識を持ち始めたのです。

結果として、店舗に「お客様を覚える文化」が生まれていきました。


最後に

リピート率が低いと、

「もっと新規客を集めよう」

「クーポンを出そう」

「キャンペーンをしよう」

と考えがちです。

しかし、その前に確認したいのが、

「一度来てくれたお客様を、私たちはどれだけ知っているか?」

ということです。

そして、

「そのお客様が、もう一度この店に来る理由をつくれているか?」

を考えてみてください。

お客様は、単純に商品だけを買っているわけではありません。

「自分のことを分かってくれている」

「大切にしてくれている」

「ここに来ると心地よい」

という体験も含めて、お店を選んでいます。

だからこそ、

「お客様は自分を覚えてくれている人のところに行く」

という視点は、飲食店のリピート率を考えるうえで非常に重要です。

店長の仕事は、目の前の店舗を回すことだけではありません。

お客様との関係を育て、スタッフにもその価値を伝え、「またこの店に来たい」と思ってもらえる仕組みをつくることも、店長の重要な仕事です。

新規客を増やす。

一度来てもらう。

覚えてもらう。

また来てもらう。

そして、また来たくなる理由をつくる。

この循環ができれば、広告や値引きだけに頼らない、強い店舗経営につながっていきます。

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