「売上は悪くないのに利益が残らない。」
「原価率を改善しようと言われるが、何から手を付ければいいかわからない。」
「食材価格が上がっているから仕方がない。」
飲食店では、このような悩みを抱える店長や経営者が少なくありません。
もちろん、昨今の原材料価格の高騰は避けられない要因です。しかし、すべてを外部環境のせいにしてしまうと、改善できる部分まで見落としてしまいます。
実際に利益を出し続けている店舗は、食材価格だけを見ているのではなく、「原価率を測定し、改善する仕組み」を持っています。
特に多店舗展開を目指す企業では、店長が経営者視点を持ち、数字から改善点を見つけられるかどうかが大きな差になります。
今回は、原価率が改善しない原因と、店長が実践できる改善方法について解説します。
原価率を放置すると起こる3つの問題
① 売上が増えても利益が増えない
「今月は売上が良かった。」
その報告だけでは安心できません。
売上が10%伸びても、原価率が5%悪化していれば利益はほとんど残らないこともあります。
利益を生み出す店舗は、売上だけではなく
- 原価率
- 粗利益
- 商品ごとの利益
まで見ています。
売上だけを見る店長と、利益まで見る店長では、店舗の将来性が大きく変わります。
② 問題が起きても原因が分からない
「なんとなく原価率が悪い。」
これでは改善できません。
例えば
- 廃棄が増えた
- 盛り付け量が増えた
- 発注ミスがあった
- 高原価商品の販売比率が上がった
原因はまったく違います。
測定していなければ、改善ではなく「勘」で動くことになります。
③ スタッフがお金への意識を持てない
原価率を店長だけが気にしている店舗では、
- 食材を無駄にする
- 適当な盛り付け
- ロスへの危機感がない
という状態になりがちです。
数字を共有することで初めて
「この一皿にもコストがかかっている」
という経営者視点が育っていきます。
利益を残す店舗は数字で改善している
理想の店舗では、
毎日の数字が改善活動につながっています。
例えば
- 商品ごとの原価率
- 廃棄量
- ロス金額
- 発注精度
- 仕込み量
これらが見える化されているため、
「今週はロスが増えている」
「この商品だけ利益率が低い」
ということに早く気付けます。
数字は店長を責めるものではなく、改善のヒントを教えてくれる情報なのです。
原価率が改善しない会社組織の3つの課題
① 測定する仕組みがない
改善の第一歩は測定です。
しかし実際には、
「月末に原価率だけ確認する」
という会社も少なくありません。
それでは原因は分かりません。
料理ごとの原価率やロスを測定しましょう。
改善は測定から始まります。
② 売上ばかり評価している
評価項目が
- 売上
- 客数
だけでは、
利益への意識は育ちません。
利益率やロス削減なども評価対象にすることで、店長の行動は変わります。
③ 数字教育が不足している
「店長だから数字は分かるだろう。」
そう考えるのは危険です。
店長教育方法として、
- 原価率とは何か
- 粗利益とは何か
- なぜ測るのか
まで教育しなければ、数字はただの報告資料になってしまいます。
店長自身が見直したい3つの考え方
① 原価率を月末だけ見る
月末では遅すぎます。
毎週、できれば毎日確認することで、小さな異常に気付けます。
② 全体しか見ていない
「今月の原価率30%」
だけでは改善できません。
商品ごと
時間帯ごと
カテゴリーごと
細かく見ることで改善点は見えてきます。
③ 感覚で判断している
「最近ロスが多い気がする」
ではなく、
実際に
- 廃棄数
- 廃棄金額
- 発注精度
を測ることが重要です。
数字は思い込みをなくしてくれます。
店長が実践したい原価率改善の5つの習慣
① 商品ごとの原価率を把握する
人気商品でも利益が出ていない場合があります。
売れる商品と利益が残る商品は必ずしも一致しません。
② ロスを毎日記録する
何を
どれだけ
なぜ捨てたのか
これだけでも改善スピードは大きく変わります。
③ 発注精度を高める
過剰発注も欠品も利益を減らします。
販売予測を見ながら発注する習慣を作りましょう。
④ 標準レシピを守る
「少し多め」が積み重なると、大きな利益損失になります。
標準化は品質だけでなく利益も守ります。
⑤ 数字をスタッフと共有する
店長一人では改善できません。
スタッフにも
「今月はロスを10%減らそう」
など具体的な目標を共有することで、全員が利益づくりに参加できます。
事例|原価率ではなく「ロス」を測っただけで利益が改善した店舗
ある飲食店では、
「原価率が悪い」
ということだけが毎月報告されていました。
しかし原因は誰も分かりませんでした。
そこで、
毎日
- 廃棄数
- 廃棄理由
- 商品ごとのロス
を記録することにしました。
すると、
閉店前に仕込み過ぎている商品が毎日同じように廃棄されていることが判明しました。
仕込み量を調整しただけで、
原価率は改善し、利益も大きく向上しました。
改善したのは特別なノウハウではありません。
「測定する仕組み」を作ったことが成果につながったのです。
最後に
原価率は、「下げよう」と意識するだけでは改善しません。
改善できる店舗は、まず現状を正しく測定しています。
料理ごとの原価率やロスを測定し、数字から課題を発見することで、感覚ではなく根拠を持った改善ができるようになります。
また、原価率の改善は店長一人の仕事ではありません。スタッフ全員がお金の流れを理解し、小さな無駄を減らす文化をつくることが重要です。
飲食店の利益は、売上だけでは決まりません。
店長が経営者視点を持ち、数字を味方につけること。
それが、利益が残る店舗づくりへの第一歩です。



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