― リスクテイクの後押しが人材と組織を成長させる ―
店長育成について話をしていると、
「スタッフが言われたことしかやらない」
「改善提案が出てこない」
「自分で考えて動いてほしい」
という悩みをよく耳にします。
しかし、その一方で現場を見てみると、
提案した人が責任を押し付けられる。
失敗すると叱責される。
新しい取り組みは前例がないから却下される。
そんな環境になっていることも少なくありません。
これでは誰も挑戦しなくなります。
人は失敗そのものを恐れているのではありません。
失敗した後の扱いを恐れているのです。
組織が成長するためには改善が必要です。
改善のためには挑戦が必要です。
そして挑戦には必ずリスクが伴います。
だからこそ組織には、
「リスクテイクの後押し」
が必要になります。
ActionCOACHの組織・人材の考え方では、
- 強いリーダーシップ
- 共通のゴール
- ゲームのルール
- アクションプラン
- リスクテイクの後押し
- 100%参加
という6つの要素が組織成長を支える土台になります。
今回はその中の「リスクテイクの後押し」について解説します。
リスクテイクの後押しとは何か
リスクテイクの後押しとは、
単純に
「失敗してもいいよ」
と言うことではありません。
本質は、
挑戦するために必要な考え方や準備を支援すること
です。
例えば、
スタッフが
「新しい販促企画をやってみたい」
と提案したとします。
そのとき店長が、
「いいね、やってみよう」
だけで終わるのは後押しではありません。
本当の後押しとは、
- 費用はいくらかかるのか
- どんな成果が期待できるのか
- 失敗した場合の影響は何か
- その対策は考えられているか
- どの数字で成果を測るのか
を一緒に考えることです。
つまり、
挑戦を応援しながら、
経営視点や当事者意識も育てることです。
これは単なる承認ではありません。
人材育成そのものなのです。
なぜリスクテイクの後押しが必要なのか
組織の成長は改善の積み重ねです。
改善とは現状を変えることです。
現状を変えるということは、
必ず不確実性が発生します。
つまり、
改善にはリスクが伴います。
もし誰も挑戦しなければ、
失敗もありません。
しかし成長もありません。
現状維持は安全に見えますが、
競争環境の中では実質的な後退です。
だからこそ、
組織は安全な失敗を許容しながら、
挑戦を促進する必要があります。
リスクテイクの後押しがない店舗で起こる問題
指示待ち人材が増える
何か提案すると否定される。
失敗すると怒られる。
そんな経験を繰り返すと、
人は考えることをやめます。
そして、
「言われたことだけやります」
という状態になります。
改善提案が出なくなる
現場は問題を最もよく知っています。
しかし、
提案しても通らない。
責任だけ増える。
そう感じると誰も発言しなくなります。
結果として、
現場の知恵が埋もれてしまいます。
店長依存が加速する
改善提案が出ない組織では、
問題解決が全て店長任せになります。
店長だけが考える。
店長だけが決める。
店長だけが責任を負う。
これでは組織は大きくなりません。
人材が育たない
経営感覚や判断力は、
実際に考え、決断し、行動することで身につきます。
挑戦の機会がない組織では、
人材の成長速度も遅くなります。
リスクテイクを妨げる主な原因
失敗を悪と考えている
多くの組織では、
失敗=能力不足
と捉えがちです。
しかし実際には、
失敗には二種類あります。
一つは、
ルール違反や怠慢による失敗。
もう一つは、
挑戦した結果としての失敗です。
後者まで否定してしまうと、
誰も挑戦しなくなります。
成果だけで評価している
結果だけを見る組織では、
成功する可能性が高いことしかやらなくなります。
しかし、
大きな成果は往々にして挑戦の先にあります。
リスク評価を教えていない
挑戦を推奨するだけでは不十分です。
リスクを見積もる力も育成しなければなりません。
ここが店長の重要な役割になります。
店長が行うべきリスクテイクの後押し
「なぜやりたいのか」を考えさせる
まずは目的です。
何のためにやるのか。
誰のためにやるのか。
期待する成果は何か。
ここが曖昧な提案は成功しません。
費用対効果を考えさせる
例えば、
POPを作りたい。
イベントを開催したい。
新しい備品を導入したい。
そんな提案があったら、
費用はいくらか。
どんな成果が期待できるか。
回収できる見込みはあるか。
を考えさせます。
これは経営感覚のトレーニングになります。
想定リスクを考えさせる
成功だけでなく、
失敗した場合も考える。
- お客様からクレームが来る可能性
- スタッフ負荷が増える可能性
- コストが回収できない可能性
などです。
ここで重要なのは、
リスクを理由に止めることではありません。
対策を考えることです。
小さく試すことを教える
いきなり大きく実施する必要はありません。
まず一週間。
まず一商品。
まず一人のお客様。
小さく試すことでリスクは大幅に下がります。
これは改善活動の基本です。
失敗後の振り返りを支援する
本当に育成になるのはここです。
失敗したら、
誰が悪いかではなく、
何を学べるかを考えます。
- 何が起きたのか
- なぜ起きたのか
- 次回どうするのか
を整理することで、
失敗は経験値に変わります。
当事者意識を育てる最高の方法
リスクテイクの後押しは、
実は当事者意識の育成でもあります。
人は責任を持った経験によって成長します。
提案する。
計画する。
実行する。
結果を確認する。
改善する。
この一連の流れを経験することで、
従業員は「作業者」から「経営を支える人材」へ変わっていきます。
店長が全て決める組織では、
店長しか育ちません。
スタッフに挑戦の機会を与える組織では、
未来のリーダーが育ちます。
まとめ
事業の成長は、
挑戦の積み重ねによって生まれます。
挑戦にはリスクが伴います。
だからこそ、
組織にはリスクテイクを後押しする文化が必要です。
ここでいう後押しとは、
無責任に挑戦を許可することではありません。
目的を考えさせ、
費用対効果を考えさせ、
リスクを考えさせ、
結果を振り返らせることです。
そのプロセスこそが人材育成であり、
当事者意識のトレーニングです。
強いリーダーシップが方向を示し、
共通のゴールが目的地を示し、
ゲームのルールが守るべき範囲を示し、
アクションプランが行動を示す。
そしてリスクテイクの後押しは、
その行動を実際の成長へと変える推進力になります。
もし店舗のスタッフが受け身になっていると感じるなら、
問いかけてみてください。
「うちの組織は、失敗を恐れずに挑戦できる環境になっているだろうか。それとも、挑戦しない方が得だと思われているだろうか。」
その答えが、次のリーダーを育てる第一歩になるはずです。


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