商品を売るだけでは集客できない?飲食店のキャンペーンが失敗する3つの理由

営業・マーケティング

「キャンペーンをやったのに、思ったほどお客様が増えなかった」

「メーカーから提案されたキャンペーンを実施したけれど、売上への効果がよく分からない」

飲食店では、こうしたことが珍しくありません。

キャンペーンそのものが悪いとは限りません。むしろ問題は、「何を売るか」から考えてしまい、「誰に、何のために売るのか」が曖昧なまま始めていることにあります。

特に店長が日々の営業やスタッフ管理に追われていると、「とりあえず今月はこのキャンペーンをやろう」となりがちです。しかし、店長とは単に店舗を運営する人ではありません。店舗の売上や利益、顧客づくりまで考える立場だからこそ、キャンペーンにも経営者視点が必要です。

今回は、飲食店のキャンペーンが失敗する原因と、店長が押さえておきたい「売れるキャンペーン」の考え方について解説します。

なぜキャンペーンをやっても成果が出ないのか?3つの弊害

1.売上は増えたのに「何が良かったのか」が分からない

キャンペーンを実施して売上が増えると、「成功した」と判断したくなります。

しかし、前年同月より売上が増えていたとしても、それがキャンペーンの効果とは限りません。

天候が良かったのかもしれません。近隣でイベントがあったのかもしれません。たまたま常連客の利用が増えただけかもしれません。

キャンペーンを行う前に、

  • 何を改善したいのか
  • 誰に来てほしいのか
  • どんな行動をしてほしいのか
  • 何を成果として測定するのか

を決めていなければ、結果を振り返ることができません。

「やったけど、結局よく分からなかった」という状態になってしまいます。

2.本来来てほしいお客様に届かない

キャンペーンにはターゲットが必要です。

例えば「生ビール半額」というキャンペーンを考えたとします。

一見すると、分かりやすく魅力的です。

しかし、

「誰に来てほしいのか?」

と聞かれたらどうでしょうか。

20代の会社員なのか、子育て世代なのか、仕事帰りの男性なのか、家族連れなのか。

ターゲットが違えば、キャンペーンの内容だけでなく、告知する場所や時間、メッセージも変わります。

ターゲットが曖昧なキャンペーンは、結果として「誰にも強く刺さらないキャンペーン」になりやすいのです。

3.現場が「キャンペーンをやること」だけで終わる

さらに注意したいのが、スタッフの行動です。

キャンペーンを始めると、

「この商品をおすすめしてください」

「POPを貼ってください」

「声かけをしてください」

と指示することがあります。

もちろん必要な行動です。

しかし、スタッフが「なぜ、このキャンペーンをするのか」を理解していなければ、単なる作業になってしまいます。

結果として、

「キャンペーン商品を販売する」

ことが目的になり、

「お客様に再来店してもらう」

「新しい客層を獲得する」

「客単価を上げる」

といった本来の目的が抜け落ちます。

これは飲食人材育成の観点からも重要です。

店長が経営者視点を持ち、キャンペーンの目的をスタッフに伝えられるかどうかで、現場の動きは大きく変わります。

成功するキャンペーンは「商品」ではなく「お客様」から考える

キャンペーンを考えるとき、最初に商品を決めるのではなく、まず「お客様」を考えます。

例えば、

「最近、新規のお客様が少ない」

という課題があるとします。

そこで、

「何かキャンペーンをやろう」

ではなく、

「どんな新規客を増やしたいのか?」

を考えます。

例えば、

  • 仕事帰りの20~30代
  • 近隣の子育て世代
  • 女性2~3名のグループ
  • 平日の利用が少ない会社員
  • ランチ利用からディナー利用につなげたいお客様

などです。

そこから、

「その人たちは、なぜこの店に来るのか?」

を考えます。

「安いから」だけではありません。

「友人と気軽に飲める」

「仕事帰りに短時間で利用できる」

「女性だけでも入りやすい」

「子ども連れでも安心」

など、来店する理由はさまざまです。

この「来店する理由」を明確にしてからキャンペーンを設計すると、単なる値引きとは違った施策が見えてきます。

会社として抱えやすい3つの課題

課題1.キャンペーンの目的が共有されていない

本部が「売上を上げるため」と考えていても、店長は「メーカーから言われたから」と考えている。

スタッフは「おすすめ商品だから売る」と考えている。

これでは、全員が違う方向を向いてしまいます。

キャンペーンを始める前に、

「このキャンペーンで何を実現したいのか」

を明確にすることが必要です。

課題2.商品ありきで企画している

飲食店では、酒類メーカーや食品メーカーなどからキャンペーンの提案を受けることがあります。

これは非常にありがたいことですが、「提案されたからやる」だけでは、十分な成果につながらない可能性があります。

例えば、大手の酒類メーカーから、

「この商品を使ったキャンペーンをしませんか?」

と提案されたとします。

ここで、

「ではやりましょう」

と即決するのではなく、

「このキャンペーンのターゲットは誰なのか?」

「何を目的としているのか?」

「どのような行動を期待しているのか?」

「自店の顧客層と合っているのか?」

を確認してみましょう。

メーカー側にも当然、販売促進などの狙いがあります。

だからこそ、自店舗の目的とメーカー側の目的が一致しているかを確認することが重要です。

提案を断る必要はありません。

「自店にとってどう活用するか」

という視点を持つだけで、同じキャンペーンでも成果は変わってきます。

課題3.効果測定の仕組みがない

キャンペーン終了後に、

「結構売れたね」

「思ったよりダメだったね」

だけで終わっていないでしょうか。

これでは次回につながりません。

例えば、

  • キャンペーン対象商品の販売数
  • 新規客数
  • 再来店数
  • 客単価
  • 平日来店数
  • クーポン利用数
  • SNSからの来店数

など、目的に合わせて測定します。

大切なのは、数字をたくさん集めることではありません。

「キャンペーンの目的を達成できたか」

を判断できる数字を選ぶことです。

店長自身が抱えやすい3つの課題

1.「本部が決めたことだから」と受け身になる

多店舗展開をしている会社では、キャンペーンが本部から降りてくることも多いでしょう。

しかし、店長が、

「本部のキャンペーンなので」

で終わってしまうと、店舗ごとの工夫が生まれません。

同じキャンペーンでも、店舗の立地や顧客層によって最適な活用方法は違います。

ここに店長の経営者視点が求められます。

2.ターゲットを具体化できていない

「お客様に来てもらう」というだけでは、ターゲットとしては広すぎます。

「誰に来てもらいたいのか?」

「その人は何を求めているのか?」

「その人が来店する理由は何か?」

ここまで掘り下げることで、キャンペーンの設計が具体的になります。

3.スタッフに目的を伝えられていない

店長が目的を理解していても、スタッフが理解していなければ実行されません。

「この商品を売ってください」

ではなく、

「今回の目的は、平日の新規客を増やすこと。そのために、この時間帯のお客様にこういう提案をしてみよう」

と伝える。

目的が分かれば、スタッフ自身が状況に応じて考えられるようになります。

これは「部下が育たない」という問題の改善にもつながります。

キャンペーンを成功させる5ステップ

キャンペーンを企画するときは、次の順番で考えてみてください。

STEP1.目的を決める

まず、

「何を変えたいのか?」

を明確にします。

新規客を増やしたいのか、客単価を上げたいのか、平日の売上を増やしたいのか、リピーターを増やしたいのか。

目的によって施策は変わります。

STEP2.ターゲットを決める

次に、

「誰に来てほしいのか?」

を決めます。

「20~30代」程度ではまだ広い場合があります。

「平日の18~20時に仕事帰りで来店する20~30代の会社員」のように、具体化していきます。

STEP3.来店する理由をつくる

ターゲットが、

「それなら行ってみよう」

と思える理由を考えます。

単純な値引きだけではなく、

「今しか楽しめない」

「友人と共有したい」

「自分へのご褒美にしたい」

など、顧客心理まで考えてみましょう。

STEP4.スタッフの行動に落とす

キャンペーンの目的とターゲットをスタッフと共有します。

そして、

「具体的に何をするのか」

まで決めます。

ここまでやって初めて、企画が現場で機能します。

STEP5.結果を測定し、改善する

最後に数字を確認します。

「成功した・失敗した」で終わらせず、

「なぜこの結果になったのか?」

を考えます。

次のキャンペーンで改善すれば、経験が店舗のノウハウとして蓄積されます。

「生ビールキャンペーン」が新規客獲得につながった事例

ある飲食店では、酒類メーカーから生ビールのキャンペーンを提案されました。

当初、店長は「せっかくメーカーから提案されたので」と、そのまま実施しようとしていました。

しかし、改めて店舗の状況を確認すると、課題は「ビールの販売数」ではなく、平日の新規客が少ないことでした。

そこでターゲットを、

「平日の仕事帰りに、2~3人で飲みに来る20~30代会社員」

と設定。

さらに、

「仕事帰りに気軽に飲める店」

という訴求に変更しました。

スタッフにも、

「ビールを売るキャンペーン」ではなく、

「平日の新規客に店を知ってもらい、次回も来てもらうためのキャンペーン」

と説明しました。

その結果、スタッフからも、

「このお客様にはこちらを案内した方がいいのでは?」

といった提案が出るようになりました。

重要なのは、キャンペーンの内容そのものを大きく変えたことではありません。

「商品を売る」から「目的を達成するために商品を活用する」へ、店長の考え方を変えたことです。

最後に

飲食店のキャンペーンが失敗する原因は、必ずしも「キャンペーンの内容が悪い」からではありません。

むしろ、

誰に、何のために、どんな行動をしてもらいたいのか

が曖昧なまま始まっていることが大きな原因です。

特に商品ありきのキャンペーンは注意が必要です。

酒類メーカーなどから魅力的な提案を受けたときも、「やる・やらない」だけで判断するのではなく、

「このキャンペーンを自店舗の目的達成にどう活用できるか?」

と考えてみてください。

店長がこうした視点を持つことは、単にキャンペーンの成果を高めるだけではありません。

数字を見て、顧客を理解し、スタッフに目的を伝え、改善を続ける。

こうした経験を積み重ねることで、店長は少しずつ経営者視点を持った店長へと成長していきます。

そして、スタッフも「言われたことをやる」だけではなく、「店舗の目的を達成するために考えて動く」ようになります。

キャンペーンは、単なる販促イベントではありません。

店長とスタッフが「お客様に選ばれる理由」を考える、人材育成の機会にもできるのです。

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