常連客がいるのに売上が伸びない?飲食店が「常連客依存」から抜け出す方法

営業・マーケティング

飲食店を経営していると、「うちは常連さんが多いから安心」と感じることがあります。長く通ってくれるお客様がいることは、もちろん大きな強みです。お店を支えてくれる常連客の存在は、売上だけでなく、スタッフの励みにもなります。

しかし、常連客がいることと、店舗経営が安定していることは、必ずしも同じではありません。

むしろ、常連客への依存度が高くなりすぎると、「新しいお客様を増やす」という活動が後回しになり、気づいたときには少しずつ売上が落ちているケースがあります。

特に多店舗展開を目指す飲食店では、この問題は重要です。

「店長とは、今日の営業をうまく回す人」だけではありません。店舗の未来を考え、次のお客様を生み出していくことも、店長に求められる経営者視点の一つです。

では、なぜ常連客依存が起こり、どうすれば抜け出せるのでしょうか。

常連客依存が引き起こす3つの問題

1.新規客が増えず、店舗の顧客基盤が広がらない

常連客が定期的に来店してくれると、「今日もお客様が来ているから大丈夫」と考えがちです。

しかし、その状態に慣れてしまうと、新規集客への意識が薄れていきます。

新規客が増えなければ、現在の常連客が少しずつ離れていったときに、その穴を埋めることができません。

例えば100人の常連客がいる店舗でも、毎月数人ずつ来店頻度が落ちていけば、1年後には大きな売上差になります。

問題なのは、常連客が減ることそのものではありません。

新しいお客様を獲得する仕組みがないまま、既存客の減少だけが進むことです。

2.店舗が「今のお客様」に最適化されすぎる

常連客を大切にすることは重要です。

一方で、「今来てくれている人が好きなもの」だけを追求すると、新しいお客様にとって入りづらい店になることがあります。

メニュー、価格、接客、店内の雰囲気などが、常連客には心地よくても、初めて来た人には分かりづらい。

この状態では、新規客が一度来店しても定着しません。

つまり、

常連客が多い
→新規客への意識が下がる
→新規客が増えない
→さらに常連客への依存度が上がる

という循環が起こります。

3.店長が「営業を回す人」になってしまう

常連客が多い店舗では、店長自身も営業を回すことに集中しやすくなります。

「今日も忙しいから集客のことは後回し」

「常連さんが来てくれるから大丈夫」

「新規客は本部が考えること」

こうなってしまうと、店長の仕事が日々のオペレーション管理だけになってしまいます。

本来、店長には店舗の未来をつくる役割もあります。

店長が経営者視点を持つためには、「今日いくら売れたか」だけではなく、

「誰が来てくれたのか」

「なぜ来てくれたのか」

「次は誰に来てもらいたいのか」

まで考える必要があります。

理想は「常連客を守りながら、新規客も増やせる店舗」

目指したいのは、常連客を減らして新規客を増やすことではありません。

常連客を大切にしながら、新しいお客様も継続的に増やしていくことです。

飲食店の集客には、大きく分けて2つの視点があります。

一つは「既存のお客様に、これからも来てもらうこと」。

もう一つは「まだ来店したことのないお客様に、来てもらうこと」です。

この両方が必要です。

常連客が離れないようにする取り組みだけでも不十分です。

新規客を集める取り組みだけでも不十分です。

既存客と新規客の両方を見ながら、店舗全体の顧客数を維持・拡大していくことが重要です。

常連客依存になる会社組織の3つの課題

1.新規集客を誰の仕事にするか決まっていない

「集客は会社がやるもの」

「広告は本部が考えるもの」

となっていると、店舗側は集客を自分の仕事として捉えにくくなります。

もちろん、本部が広告やマーケティングを担当することは必要です。

しかし、店舗で実際にお客様と接している店長だからこそ分かる情報もあります。

「最近どんなお客様が増えているのか」

「どんなお客様が減っているのか」

「どんな商品がきっかけで初回来店しているのか」

こうした情報を現場からマーケティングに戻す仕組みが必要です。

2.新規客とリピーターの数字を分けて見ていない

売上だけを見ていると、常連客依存に気づけないことがあります。

例えば、売上が前年と同じでも、

  • 新規客が減っている
  • 常連客の来店頻度が増えている

という状態なら、将来的には危険かもしれません。

逆に、新規客が増えていて、リピーターも増えているなら、店舗の顧客基盤は広がっています。

店長が経営者視点を持つためには、売上だけでなく、顧客の構成を見る習慣が必要です。

3.集客活動の成果を測定していない

SNS、チラシ、紹介、広告、キャンペーンなど、さまざまな施策を行っていても、

「結局、何が新規客につながったのか」

が分からなければ改善できません。

集客活動をしていることと、集客の仕組みができていることは別です。

店長自身が抱えやすい3つの課題

1.「忙しいから集客までできない」

飲食店の店長は、とにかく忙しい仕事です。

人員不足、クレーム対応、発注、シフト、教育、売上管理など、日々やることはたくさんあります。

そのため、集客のような「緊急ではない仕事」は後回しになりがちです。

しかし、新規客を増やす活動は、売上が落ちてから始めても遅い場合があります。

2.新規客を増やす方法が分からない

「新規客を増やせ」と言われても、具体的に何をすればいいのか分からない店長もいます。

これは店長のやる気の問題とは限りません。

そもそも、飲食 人材育成の中で、経営数字やマーケティングを教えられていないことが原因かもしれません。

接客やオペレーションだけを教えて、店舗経営について教えなければ、店長が経営者視点を持つのは難しいでしょう。

3.常連客がいることで危機感が生まれにくい

これは意外と大きな問題です。

「最近も〇〇さんが来てくれた」

「今日もいつものお客様でいっぱいだった」

という状態だと、店舗の問題に気づきにくくなります。

だからこそ、店長には「今の売上」だけではなく、「未来の売上」を見る視点が必要です。

常連客依存から抜け出すための4つの取り組み

1.新規客と既存客を分けて把握する

まずは難しい分析をする必要はありません。

毎月、

「新規客は何人だったか」

「リピーターは何人だったか」

「新規客はどこから来たのか」

を記録してみましょう。

数字を見える化するだけでも、店舗の状態が変わって見えてきます。

2.「誰に来てほしいか」を決める

「新規客を増やす」だけでは具体的な行動につながりません。

例えば、

「近隣で働く30代会社員」

「子ども連れのファミリー」

「仕事帰りに軽く食事をしたい人」

など、具体的に考えます。

ターゲットが決まれば、メニュー、SNS、広告、店頭看板などの改善ポイントも見えてきます。

3.新規客の来店理由をつくる

知られていなければ、選ばれることはありません。

しかし、知ってもらうだけでも不十分です。

「なぜ、この店に行くのか?」

という理由が必要です。

新商品、限定メニュー、ランチ、イベント、地域とのコラボレーションなど、初回来店のきっかけを設計します。

ここで重要なのは、単に値引きをすることではありません。

「この店に行ってみたい」と思える価値をつくることです。

4.新規客をリピーターにする仕組みをつくる

新規客を増やして終わりではありません。

初回来店したお客様に、

「また来たい」

と思ってもらう必要があります。

そのためには、初回来店時の体験、スタッフの接客、商品、次回来店のきっかけなどを設計します。

新規客獲得とリピーター化を別々に考えるのではなく、一つの顧客導線として考えることがポイントです。

【事例】常連客で売上を維持していた店舗が、新規客を増やした方法

ある飲食店では、長年通ってくれる常連客が多く、店長も「地域に愛されている店だから問題ない」と考えていました。

しかし、売上を詳しく確認すると、新規客が年々減少していました。

常連客の来店頻度によって売上が維持されていたため、問題が表面化していなかったのです。

そこで、まず「新規客」「リピーター」「休眠客」に分けて顧客を確認しました。

すると、近隣に新しい住宅が増えているにもかかわらず、その層への認知がほとんどないことが分かりました。

そこで、近隣住民をターゲットにした情報発信を開始。

さらに、初回来店のきっかけになる商品をつくり、初回来店後に「次回来店する理由」が生まれるような案内も見直しました。

最初から大きな広告費をかけたわけではありません。

「誰に来てほしいのか」

「なぜ来てもらうのか」

「来てもらった後、なぜもう一度来るのか」

という顧客導線を整理したのです。

その結果、店長自身も「集客は会社から与えられるものではなく、自分たちで考えられるもの」という認識を持つようになりました。

これは店長の経営者視点を育てるうえでも大きな変化でした。

最後に

常連客は、飲食店にとって大切な財産です。

だからこそ、「常連客依存」と「常連客を大切にすること」は分けて考える必要があります。

常連客が離れないようにする。

そして、新しいお客様にも選んでもらう。

この2つを同時に行わなければ、店舗の顧客基盤は少しずつ縮小していきます。

特に多店舗展開を目指す企業では、店長一人ひとりが「今日の営業」だけでなく「半年後、1年後の店舗」を考えられることが重要です。

店長とは、単に店舗を管理する人ではありません。

店舗の現在を守りながら、未来をつくる人でもあります。

そのためには、売上だけを見るのではなく、新規客・リピーター・来店理由・顧客導線まで見る習慣を身につけることが大切です。

「うちは常連客が多いから大丈夫」

そう思ったときこそ、一度確認してみてください。

今月、新しいお客様は何人増えましたか?

この数字に答えられるかどうかが、店舗の未来を考える第一歩になるかもしれません。

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