SNSが続かない飲食店は「目的」が曖昧?店長が経営者視点を持つためのSNS運用術

営業・マーケティング

飲食店の集客でSNSを活用しようと考える会社は増えています。

InstagramやX、TikTokなどを始めて、「これからはSNSでお店を知ってもらおう」と決めたものの、最初の数週間だけ投稿して、その後は更新されなくなってしまう。

そんな経験はないでしょうか。

「忙しくて投稿できない」
「担当者が辞めてしまった」
「ネタがなくなった」
「最初は頑張っていたけど、効果が分からない」

SNSが続かない理由はいろいろあります。

しかし、飲食店の現場を見ていると、根本的な原因は「投稿する時間がないこと」ではないケースも少なくありません。

実は、SNSを何のためにやっているのか、その目的が曖昧なまま始めていることが大きな原因になっています。

特に多店舗展開をしている会社では、本部が「SNSをやろう」と決めても、店舗の店長がその意味を理解していなければ、SNSは「本部から言われた仕事」の一つになってしまいます。

今回は、SNSが続かない飲食店で起きている問題を、店長の経営者視点や飲食人材育成という観点から考えてみます。

SNSが続かないことで起きる3つの問題

1.お店の存在を知ってもらう機会を失う

どれだけ良い料理を提供していても、知られていなければ選ばれることはありません。

SNSは、お客様にお店の存在や魅力を知ってもらうための接点の一つです。

投稿が止まれば、当然その接点も減ります。

特に新規客を増やしたい店舗にとっては、「認知される機会が減る」ということ自体が大きな問題です。

広告と違い、SNSは積み重ねによってお店の雰囲気やスタッフの人柄、料理へのこだわりなどを伝えられます。

だからこそ、一度始めたSNSを継続することには意味があります。

2.リピーターとの接点も減ってしまう

SNSは新規客を獲得するためだけのものではありません。

一度来店したお客様に、再びお店を思い出してもらうための接点にもなります。

「そういえば、あのお店また行きたいな」

そう思ってもらえるきっかけが、SNSの投稿になることもあります。

しかし、投稿が止まってしまえば、せっかく来店してくれたお客様との接点も減ってしまいます。

新規客を集めることばかり考えて、既存客との関係づくりを忘れてしまうと、集客活動が毎回「新しいお客様を探す」ことになってしまいます。

3.スタッフの集客に対する当事者意識が育たない

SNSが続かないことによる問題は、集客だけではありません。

「集客は本部や広告担当者がやるもの」

という意識が店舗に定着してしまう可能性があります。

店長とは、単に店舗を営業する責任者ではありません。

店舗の売上や利益、人材、顧客満足などを考え、店舗をより良くしていく役割を担う存在です。

そのためには、店長自身が「どうすればお客様に選ばれる店になるのか」を考える必要があります。

SNSもそのための手段の一つです。


理想は「SNSをやらされる店長」から「集客を考える店長」へ

SNS運用を成功させることだけを目的にしてはいけません。

重要なのは、店長が「SNSを使って何を実現したいのか」を理解していることです。

例えば、

  • 新規のお客様にお店を知ってもらう
  • 新商品の魅力を伝える
  • 常連客に再来店してもらう
  • 店舗のファンを増やす
  • 採用候補者に職場の魅力を伝える

など、目的によって投稿する内容は変わります。

「毎週3回投稿する」というのは目標ではあっても、本来の目的ではありません。

投稿数を達成することが目的になれば、SNSは単なる作業になります。

逆に、「今月は新規のお客様にお店を知ってもらう」という目的があれば、店長やスタッフからも「どんな情報を発信すれば知ってもらえるだろう?」という発想が出てきます。

ここに、店長の経営者視点を育てるポイントがあります。


SNSが続かない会社にある3つの組織的な課題

1.SNSを始めた目的が共有されていない

経営者が「SNSをやろう」と考えていても、その背景が店長まで伝わっていないケースがあります。

「会社の方針だから」
「競合店もやっているから」
「若い人がSNSを見るから」

これだけでは、現場にとってSNSを続ける理由にはなりません。

「なぜSNSをするのか」
「誰に届けたいのか」
「それによって何を実現したいのか」

ここまで共有する必要があります。

2.成果指標が「投稿数」だけになっている

「週3回投稿してください」

これだけでは、SNS担当者は投稿することが仕事になってしまいます。

本来は、

認知 → 来店 → 満足 → 再来店

という顧客の流れの中で、SNSがどこに役立っているのかを考えることが重要です。

投稿数だけではなく、閲覧数、プロフィールへのアクセス、予約、問い合わせ、来店時の認知経路など、目的に合わせた指標を設定する必要があります。

3.SNS運用が特定の人に依存している

「SNSが得意なスタッフが全部やっている」

これも危険な状態です。

そのスタッフが休んだり、退職したりすると、SNSが突然止まってしまいます。

これはSNSの問題というより、店舗運営の仕組みの問題です。

飲食人材育成では、特定の人だけができる仕事を減らし、誰が担当しても一定水準でできる状態をつくることが重要です。


SNSが続かない店長自身の3つの課題

1.「SNS=作業」になっている

店長自身がSNSを単なる投稿作業だと考えていれば、忙しくなったときに真っ先に後回しになります。

「今日は投稿する時間がない」

となるからです。

しかし、「お客様に選ばれるための活動」と考えれば、重要度が変わります。

これは店長教育方法を考えるうえでも重要なポイントです。

仕事の意味が分からなければ、作業としてしか取り組めません。

2.数字と行動がつながっていない

SNSを投稿しても、売上につながっているのか分からない。

その状態では、店長もスタッフも「やっても意味がない」と感じやすくなります。

例えば、

「今月は新規客を30人増やしたい」

「そのためにSNSで地域のお客様への認知を増やす」

「投稿を見た人が予約・来店する導線をつくる」

というように、目的と行動をつなげることが必要です。

3.自分の店を客観的に見られていない

店長になると、日々の営業に追われて、自分の店舗をお客様の目線で見る時間が減っていきます。

しかしSNSは、「お客様から見た自分たちの店」を考える良い機会になります。

「この店の何が魅力なのか?」
「初めて来る人は何を不安に感じるのか?」
「なぜ他店ではなく、この店を選ぶのか?」

こうした問いを考えること自体が、店長の経営者視点を育てます。


SNSを続けるための解決策は「目的→対象→行動」の順番

SNSが続かない店舗に対して、いきなり「投稿を増やしましょう」と言うのはおすすめしません。

まず、次の順番で考えてみましょう。

STEP1 何を実現したいのか決める

例えば、

「新規客を増やしたい」

という目的があるとします。

しかし、これだけでもまだ少し曖昧です。

「平日の夜に来店する20~30代のお客様を増やしたい」

など、具体化していきます。

STEP2 誰に届けるのか決める

ターゲットが決まれば、発信する内容も変わります。

家族連れを増やしたいのか、仕事帰りの会社員を増やしたいのか、若いカップルを増やしたいのか。

「誰でも来てください」という発信は、結果として誰にも強く響かないことがあります。

STEP3 来店までの導線をつくる

SNSを見てもらっただけでは売上にはなりません。

「投稿を見る」

「お店に興味を持つ」

「メニューを見る」

「予約・来店する」

という流れを考えます。

例えばプロフィールから予約ページへ移動できるようにする、期間限定商品を紹介する、来店する理由になる情報を発信するなどです。

STEP4 結果を振り返る

最後に、「やって終わり」にしないことです。

「どの投稿が見られたか」
「どんな投稿から来店につながったか」
「お客様から何と言われたか」

を振り返ります。

そして、良かったものを残し、改善する。

このサイクルを回すことで、SNSが単なる投稿作業から、店舗経営の改善活動に変わります。


【事例】SNS担当者が辞めたら投稿が止まった飲食店

ある飲食店では、若いスタッフが中心となってInstagramを運用していました。

料理の写真やスタッフの紹介などを投稿し、最初は順調でした。

ところが、そのスタッフが退職。

その後、誰も投稿しなくなってしまいました。

店長に理由を聞くと、

「自分はSNSが苦手なので……」

という答えでした。

そこで、「SNSが得意な人を探す」のではなく、「なぜSNSをやるのか」から店長と一緒に考えました。

店舗の目的は、近隣の新規客を増やすこと。

そこで、

「この店を知らない人が、初めて見たときに来店したくなる情報は何か?」

という視点で投稿内容を考えることにしました。

料理の写真だけではなく、

  • おすすめ商品の理由
  • 店長が考える料理へのこだわり
  • 初めて来店する人への案内
  • おすすめの利用シーン
  • スタッフがおすすめする商品の紹介

などを発信しました。

すると、店長自身からも投稿アイデアが出るようになりました。

ここで重要なのは、店長がSNSの専門家になったことではありません。

「SNSを使って、お客様に選ばれる店をつくる」

という目的を理解したことです。

結果として、SNSは「誰かに任せる仕事」ではなく、「店舗の集客を考える活動」に変わっていきました。


SNSが続かない原因は、意志の弱さではない

SNSが続かないと、

「スタッフの意識が低い」
「店長がサボっている」
「担当者にやる気がない」

と考えてしまいがちです。

しかし、本当にそうでしょうか。

目的が曖昧で、成果とのつながりも分からず、何を投稿すればいいのかも決まっていない。

そんな状態で「とにかく毎週投稿してください」と言われれば、誰であっても続けることは難しくなります。

だからこそ、SNSが続かないときは、まず「どうすれば投稿を続けられるか」ではなく、

「そもそも何のためにSNSをやっているのか?」

を問い直してみてください。

そして、その目的を店長とスタッフが共有する。

そのうえで、誰に何を届け、どのように来店につなげるのかを考える。

これができれば、SNSは単なる集客ツールではなく、店長の経営者視点や当事者意識を育てる教材にもなります。

店長とは、現場を回すだけの人ではありません。

「どうすれば、この店がもっと選ばれるのか」

を考え、スタッフと一緒に実行していく人です。

SNSが続かないという小さな問題の裏側には、実は店舗経営そのものに関わる課題が隠れているかもしれません。

もし「SNSだけでなく、店長にもっと経営者視点を持ってほしい」「店長が指示待ちになってしまう」と感じているのであれば、SNSの運用方法だけを見直すのではなく、店長の役割や育成方法そのものを見直してみることをおすすめします。

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