上司の指示にモヤモヤする店長へ。同じゴールを目指す関係のつくり方

コミュニケーション

「上司の指示が、現場の実情に合っていない」
「なぜ、そんなことまで報告しなければならないのだろう」
「自分なりに考えて動いているのに、上司から評価されない」

飲食店の店長として働いていると、上司とのコミュニケーションに悩むことはありませんか?

店長は、売上や利益を管理しながら、スタッフの育成、お客様への対応、日々の店舗運営まで担う立場です。現場で起きている問題を一番よく知っているからこそ、上司の判断や指示に疑問を感じることもあるでしょう。

一方、上司にも、複数店舗の業績管理、人材配置、会社方針の実行など、店長とは異なる役割があります。

この違いを理解しないままでは、上司は「現場をわかっていない」、店長は「指示どおりに動かない」と、お互いに不満を抱えることになりかねません。

上司との関係を改善するために大切なのは、単に報告や相談の回数を増やすことではありません。

上司が果たすべきミッションを理解し、共通のゴールに向かって協力できる関係をつくることです。

この記事では、飲食店の店長が上司とのコミュニケーションを改善し、主体的に店舗運営を進めるための考え方と実践方法を解説します。

1. 上司と店長は、同じゴールに向かうパートナー

まず理解しておきたいのは、上司と店長は、役職が違うからといって、どちらか一方が一方的に正しいという関係ではないことです。

もちろん、組織には指揮命令系統があり、役職ごとに権限や責任の違いがあります。しかし、仕事を進めるうえでは、上司も店長も会社の成果を生み出すためのパートナーです。

たとえば、会社のゴールが「お客様に選ばれ続け、安定して利益を生み出せる店舗を増やすこと」だとします。

このゴールに対して、上司と店長は、それぞれ異なるミッションを持っています。

上司のミッションは、担当店舗全体の業績を把握し、人材や予算を適切に配分し、複数店舗の成果を高めることかもしれません。

一方、店長のミッションは、自店舗の売上や利益を高め、スタッフを育成し、お客様に満足していただける店舗をつくることです。

どちらも目指すゴールは同じでも、担っている役割は異なります。

店長が自店舗の成果だけを見ていると、上司が求める人材配置や他店舗への協力が理解できないことがあります。反対に、上司が店舗全体の数字だけを見ていると、店長が直面している人手不足やスタッフの育成状況を十分に把握できないこともあります。

だからこそ、お互いのミッションを理解することが重要なのです。

上司の指示を理解するだけでなく、その指示がどのようなゴールにつながっているのかを理解する。

この視点を持つことで、指示に対する受け止め方も変わっていきます。

2. 上司のミッションを知っていますか?

店長は、自分の仕事についてはよく理解していても、上司が何を達成しなければならないのかを、具体的に把握していないことがあります。

たとえば、エリアマネジャーのミッションが「担当エリアの利益を最大化すること」だったとします。

その場合、上司は一店舗の売上だけでなく、人件費、原材料費、店舗間の人材配置、店長の育成状況なども考慮して判断する必要があります。

店長から見れば、自店舗にスタッフを増やしてほしい場面でも、上司は他店舗の人員状況を踏まえて判断しているかもしれません。

ここで、上司のミッションを知らなければ、「自分の店のことを考えてくれない」と不満を感じるでしょう。

しかし、上司が何を達成しなければならないのかを理解していれば、「エリア全体の利益を高めるために、どのような提案ができるだろう」と考えられるようになります。

では、上司のミッションを知るためには、何をすればよいのでしょうか。

上司に確認したい3つの質問

上司との面談や日々の会話で、次の質問をしてみてください。

質問1:今、最も達成したい目標は何ですか?

売上や利益などの数値目標だけでなく、人材育成や組織づくりなど、上司が特に重視していることを確認します。

質問2:その目標を達成するうえで、私の店舗に期待していることは何ですか?

自分の店舗に求められている役割を確認する質問です。売上を伸ばすことなのか、店長候補を育成することなのか、成功事例をほかの店舗に広げることなのか。期待されていることがわかれば、優先順位をつけやすくなります。

質問3:私が判断に迷ったとき、何を基準に考えればよいですか?

上司の判断基準を理解することで、毎回細かな指示を待たなくても、自分で考えて行動しやすくなります。

こうした質問をすることは、上司の仕事に口を出すことではありません。お互いの役割を理解し、成果を出すためのすり合わせです。

上司のミッションを知ることは、店長が自分の仕事を進めやすくするための、大切な準備なのです。

3. 共通のゴールを持つと、コミュニケーションが変わる

上司のミッションを理解したら、次に取り組みたいのが、上司と店長の共通のゴールを明確にすることです。

ここでいう共通のゴールとは、単に「会社の売上を上げる」といった大きな目標を共有することだけではありません。

上司と店長が、お互いの役割を理解したうえで、何を実現するために協力するのかを具体的に決めることです。

たとえば、会社から「人件費率を改善するように」と指示されたとします。

店長が指示をそのまま受け取るだけでは、「シフトを減らせばよいのだろうか」「忙しい時間帯の人員を削るのは難しい」と、対応に迷うかもしれません。

しかし、上司と共通のゴールを設定できていれば、考え方が変わります。

「人件費を抑えながら、お客様へのサービス品質を維持し、店舗の利益を高める」

このようなゴールを共有できれば、店長はシフトの見直しや業務効率化などの改善策を考え、上司は必要なデータの提供や他店舗の成功事例の共有などで支援できます。

同じゴールに向かっているからこそ、店長は現場の実情を伝え、上司は会社全体の視点から助言できます。

共通のゴールを設定する3つのステップ

ステップ1:会社や上司が目指している成果を確認する

売上、利益、人材育成、顧客満足度など、何を重視しているのかを確認します。

ステップ2:自店舗で実現できることを考える

会社の目標をそのまま掲げるだけでなく、自店舗の現状や課題を踏まえて、何を改善できるのかを考えます。

ステップ3:上司と具体的な目標や行動をすり合わせる

目標の数値や期限、取り組むこと、上司に協力してほしいことを確認します。

たとえば、「3か月後までに人件費率を1ポイント改善する。そのためにピーク時間帯の配置と仕込み作業を見直し、月次の面談で進捗を共有する」といった形です。

目標は、会社や店舗の実情に合ったものにする必要があります。大切なのは、上司と店長が同じ方向を向き、具体的な行動を共有することです。

4. 上司と意見が違うときこそ、共通のゴールに立ち返る

上司と共通のゴールを持っていても、意見が食い違うことはあります。

店長は現場の状況を踏まえて判断しますが、上司は複数店舗の状況や会社全体の方針を踏まえて判断します。見ている範囲が違うため、意見が異なるのは自然なことです。

たとえば、店長は「新人の教育に時間をかけたい」と考えている一方で、上司は「今月の売上を達成するために、即戦力のスタッフを優先して配置したい」と考えているかもしれません。

このとき、店長が「上司は現場をわかっていない」と決めつけてしまうと、対立が生まれます。

反対に、上司の指示を無条件に受け入れれば、現場で問題が起きる可能性があります。

必要なのは、どちらが正しいかを争うのではなく、共通のゴールに照らして解決策を考えることです。

意見が違うときの伝え方

次の順番で伝えると、建設的な話し合いにつながりやすくなります。

  1. 共通のゴールを確認する:「売上目標を達成することが重要だと理解しています」
  2. 現場の状況を事実で伝える:「現在、新人が3名おり、ピーク時間帯の教育に時間が必要な状況です」
  3. 懸念と理由を説明する:「教育時間を削ると、提供遅延や接客品質の低下につながる可能性があります」
  4. 代替案を提案する:「教育担当を時間帯ごとに固定し、ピーク前に必要なトレーニングを終える方法はいかがでしょうか」

この伝え方なら、単なる反論ではなく、ゴールを達成するための提案になります。

もちろん、最終的な判断は上司の権限や会社のルールに従う必要がある場合もあります。それでも、現場を知る店長が情報や意見を伝えることには価値があります。

上司と意見が違うこと自体が問題なのではありません。共通のゴールを忘れ、相手を敵として扱ってしまうことが問題なのです。

5. 上司と店長の役割を整理し、主体的に動く

上司とのコミュニケーションがうまくいかないとき、店長は「もっと報告しなければ」「上司の指示を正確に理解しなければ」と考えがちです。

もちろん、報告・連絡・相談は大切です。しかし、それだけでは、上司に判断を委ねる関係から抜け出せません。

目指したいのは、上司のミッションを理解したうえで、自分のミッションを果たし、必要なときに上司の力を借りられる関係です。

そのために、次の3点を意識してみましょう。

① 自分のミッションを言葉にする

「自分は店長として、何を達成する責任があるのか」を明確にします。売上や利益だけでなく、スタッフの育成、顧客満足、店舗運営の安定なども含めて考えます。

② 上司に求める支援を明確にする

「人が足りないので、何とかしてください」ではなく、「新人育成のために、来月の2週間だけ他店舗から応援をいただけないでしょうか」のように、目的と必要な支援を具体的に伝えます。

③ 結果と学びを共有する

実施したことや結果を報告し、うまくいったこと、改善したいことを共有します。上司にとっても、店長の判断や行動を理解し、次の支援を考える材料になります。

この3点を繰り返すことで、上司は店長の考えや行動を理解しやすくなり、店長も自分の判断に責任を持って動きやすくなります。

上司と店長は、同じ仕事をする人ではありません。それぞれが違うミッションを持ち、その役割を果たすことで、共通のゴールに近づいていくのです。

6. まずは、上司との会話を一つ変えてみよう

上司とのコミュニケーションを改善するために、いきなり関係性を大きく変えようとする必要はありません。

まずは、次の3つを自分に問いかけてみてください。

  • 私は、上司が達成しなければならないミッションを理解しているだろうか?
  • 私と上司は、共通のゴールを具体的な言葉で共有できているだろうか?
  • 私は、指示を待つだけでなく、ゴール達成のために自分から提案できているだろうか?

もし答えに迷う項目があれば、次の上司との面談で一つだけ質問してみましょう。

「今、私の店舗に最も期待していることは何ですか?」

その一言が、上司の考えを知り、共通のゴールをつくるきっかけになるかもしれません。

まとめ:上司を理解することは、自分の仕事を進める力になる

店長と上司は、役職や権限、担っているミッションが異なります。しかし、会社や店舗の成果を高めるという共通のゴールに向かうパートナーです。

上司のミッションを理解することで、指示の背景や判断の理由が見えやすくなります。共通のゴールを持つことで、意見が違うときにも対立するのではなく、よりよい解決策を一緒に考えられるようになります。

大切なのは、上司に合わせることでも、自分の意見を押し通すことでもありません。お互いの役割を理解し、異なる立場から力を合わせることです。

そのためには、相手を理解するコミュニケーションと、自分の考えを整理して伝える力の両方が必要です。

店長が上司との関係を主体的につくれるようになると、店舗運営の判断や改善活動も進めやすくなります。

店長成長コーチングでは、経営スキル・コミュニケーション・マインドセットの3つの視点から、店長が自ら考え、周囲と協力しながら成果を生み出す力を育てます。

「上司との意思疎通がうまくいかない」「店長が指示待ちになっている」「現場と本部の連携を改善したい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

上司と店長が同じゴールを目指し、それぞれの力を発揮できる組織づくりを一緒に考えていきましょう。

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