対策しているのに問題が繰り返される店長へ。本質的な課題を見極める方法

マインドセット

売上が下がれば販促を考える。スタッフが辞めれば求人を出す。ミスが増えれば注意を徹底する。

店舗で問題が起きたとき、店長は何とか早く解決しようとします。それ自体は大切なことです。

しかし、対策を実施しても思ったような成果が出ない。いったん改善したのに、しばらくすると同じ問題が起きる。そんな経験はないでしょうか?

もしかすると、対策が間違っているというよりも、解決すべき問題を十分に捉えられていないのかもしれません。

店舗の問題解決では、情報を集め、本質的な課題を見極めることが重要です。そして、店長がすべての答えを出すのではなく、チームで考え、行動できる状態をつくることも求められます。

今回は、店長成長コーチングのマインドセット編として、問題の捉え方と、チームで問題解決を進めるための考え方を紹介します。

1. すぐに対策を考えることが、解決を遠ざける場合がある

例えば、飲食店の売上が3か月連続で下がっているとします。

店長としては、何とか売上を回復させなければなりません。そこで、割引キャンペーンを実施したり、SNSの投稿を増やしたりすることを考えます。

これらは、状況によっては有効な対策です。しかし、実施する前に確認しておきたいことがあります。

そもそも、売上が下がっているのはなぜでしょうか。

新規のお客様が減っているのか。リピーターの来店頻度が下がっているのか。客数は変わらないものの、注文される商品や客単価が変わっているのか。

売上が下がるという現象は同じでも、その背景によって必要な対策は異なります。

例えば、リピーターの来店頻度が下がっている場合、割引キャンペーンで一時的に来店客数を増やせても、再来店につながる理由がなければ、継続的な改善には結びつかないかもしれません。

一方、人気商品の欠品が原因なら、販促よりも在庫管理や発注方法の見直しが必要でしょう。

このように、目の前の現象だけを見て対策を決めると、時間や労力をかけても期待した結果が得られないことがあります。

問題を解決するためには、対策を考える前に、何が起きているのかを正しく理解する必要があります。

早く答えを出すことだけを優先せず、まずは問題を捉えることから始めてみましょう。

2. 情報を集め、問題の背景を理解する

問題を正しく捉えるために必要なのが、情報収集です。

ここで大切なのは、自分の考えを裏づける情報だけを集めないことです。

例えば、スタッフの退職が続いている店舗で、店長が「最近のスタッフは仕事に対する意欲が低い」と考えていたとします。

この考えを前提に、スタッフの意識を高める研修を実施することもできるでしょう。

しかし、実際にはシフトの負担が大きかったり、教育が不十分だったり、頑張っても評価されないと感じていたりする可能性もあります。

その場合、意識を高める取り組みだけでは、期待した成果につながらないかもしれません。

必要なのは、実際に何が起きているのかを確認することです。

例えば、次のような情報を集めます。

  • 退職者が話していた理由
  • 現在働いているスタッフが感じている課題
  • シフトや業務量の実態
  • 入社後の教育や面談の状況
  • 店長や社員が現場で感じている変化

数字で確認できることは数字で確認し、数字だけではわからないことは、スタッフとの対話や現場の観察を通じて把握します。

また、集めた情報がすべて正しいとは限りません。一人の意見だけで判断せず、複数の情報を照らし合わせることも大切です。

情報収集は、時間をかけること自体が目的ではありません。問題を理解し、より適切な判断をするために行うものです。

3. 本質的な課題を見極める

情報が集まったら、次は本質的な課題を見極めます。

ここで意識したいのは、目の前にある問題と、その背景にある要因を区別することです。

例えば、スタッフ不足によって店舗運営が不安定になっているとします。

スタッフが足りないという問題に対して、求人を増やすことは一つの対策です。しかし、それだけで十分でしょうか。

調べてみると、新人が仕事を覚えるまでに時間がかかり、既存スタッフの負担が増えていることがわかったとします。さらに、負担の増加が離職につながり、スタッフ不足が続いている可能性もあります。

この場合、求人だけでなく、教育方法や業務の進め方、定着に向けた取り組みも検討する必要があります。

問題が複数の要因でつながっているとき、一つの現象だけを改善しても、ほかの要因によって同じ問題が再発することがあるのです。

本質的な課題を見極めるためには、次のような問いが役立ちます。

何が起きているのか?

まず、実際に起きている事実を整理します。

なぜ、その状態になっていると考えられるのか?

原因の仮説を立て、情報と照らし合わせます。まだわからないことは、わからないままにしておきます。

何を改善すれば、望む結果に近づけるのか?

改善によってどのような変化が期待できるのかを考え、取り組む課題を決めます。

すべての原因を完全に解明してから行動する必要はありません。現時点で得られた情報から優先順位を決め、検証しながら考えを修正していけばよいのです。

4. すぐに解決できる方法が見つかるとは限らない

問題を整理していると、「これをやれば解決する」という方法を探したくなることがあります。

実際に、経験や知識によって、効果的な対策がすぐに見つかる場合もあります。過去に似た問題を解決した経験があれば、その方法が役立つこともあるでしょう。

ただし、すぐに解決策が見つかるのは、運が良い場合もあります。

店舗の問題は、業態や立地、客層、スタッフ構成、これまでの取り組みなど、さまざまな条件が関係しています。他店で成功した方法が、そのまま自店でも成功するとは限りません。

例えば、スタッフの接客力を高めるために研修を実施したとします。

研修によって知識が増えても、実際の営業中に試す機会がなかったり、忙しさから従来のやり方に戻ってしまったりすれば、行動の変化にはつながりにくいでしょう。

その場合、研修の内容だけでなく、実践する機会や振り返りの仕組みも必要かもしれません。

問題解決では、一度で正解にたどり着くことよりも、実行した結果から学び、改善を繰り返すことが重要です。

もちろん、すでに効果が確認されている方法を活用することは有効です。ただし、その方法が自店の問題に合っているかを確かめ、実施後の結果も確認しましょう。

最初から完璧な答えを探し続ける必要はありません。情報を集め、仮説を立て、実行し、結果を確認する。この繰り返しが、店舗に合った解決策を見つけることにつながります。

5. 解決までに時間がかかる問題にも、期限を設ける

すぐに解決策が見つからないからといって、いつまでも調査や検討を続けてよいわけではありません。

問題解決には時間がかかることがありますが、期限がなければ、情報収集が終わらなかったり、行動を先延ばしにしたりする可能性があります。

そこで、問題解決の過程に期限を設定します。

例えば、スタッフの定着率を改善したい場合、次のように段階を分けて考えます。

  • 1週間以内に、退職理由や職場環境について情報を整理する
  • 2週間以内に、優先して改善する課題を決める
  • 1か月以内に、具体的な対策を実行する
  • 2か月後に、実施状況や変化を確認する

これは一例であり、すべての問題に同じ期間が適しているわけではありません。問題の緊急性や規模に応じて、現実的な期限を設定しましょう。

また、期限を設定する目的は、必ずその日までに問題を完全に解決することではありません。

人材育成やスタッフの定着、顧客満足度の改善などは、成果が表れるまで時間がかかる場合があります。

そのため、「いつまでに解決するか」だけでなく、「いつまでに何を明らかにするか」「いつまでに何を実行するか」という途中の期限も大切です。

期限が来たときに十分な情報が集まっていなければ、何が不足しているのかを確認し、次の行動を決めます。

すぐに解決できない問題でも、期限を設けることで、解決に向けた行動を止めずに進められます。

6. 店長の役割は、チームで問題を解決できるようにすること

店舗の問題が発生したとき、店長が自分で考え、対策を決め、スタッフに指示を出す。こうした進め方は、短期的には効率的に見えるかもしれません。

しかし、すべての問題を店長一人で解決しようとすると、店長の負担は増える一方です。また、スタッフが自分で考え、問題を解決する機会も少なくなります。

そこで重要になるのが、店長のファシリテーターとしての役割です。

ファシリテーターとは、メンバーが意見を出し合い、問題を整理し、解決に向けて進めるように支援する役割です。

例えば、ランチタイムに料理の提供が遅れる問題が起きているとします。

店長がすぐに「もっと早く調理するように」と指示するのではなく、ホールとキッチンのスタッフから状況を聞き、どこに問題があるのかを一緒に整理します。

その際、次のような問いかけが役立ちます。

  • 理想的な提供状態は、どのような状態だろう?
  • 実際には、どの場面で時間がかかっているのだろう?
  • その原因を確かめるには、どんな情報が必要だろう?
  • 改善するために、どんな方法を試せるだろう?
  • いつまでに実行し、どのように効果を確認しよう?

こうした問いかけによって、スタッフが自分たちの仕事を振り返り、改善策を考える機会が生まれます。

もちろん、店長が何も判断しなくてよいということではありません。意見がまとまらない場合には論点を整理し、必要な判断を行い、実行できるように支援する必要があります。

安全や衛生に関わる問題、緊急性の高い問題については、まず必要な対応を迅速に行うことが優先です。

そのうえで、店長がすべての答えを持つのではなく、チームの知識や経験を活かして解決策を考えられるようにすることが大切です。

チームで問題解決に取り組む経験が増えれば、スタッフ自身が問題に気づき、改善を提案する機会も増えていきます。

店長が現場の問題を一人で抱え込むのではなく、チーム全体で改善を進められる状態を目指しましょう。

まとめ:問題を正しく捉え、チームで改善を続けよう

店舗で問題が起きたとき、すぐに解決策を探したくなるのは自然なことです。しかし、十分な情報がないまま対策を決めると、本質的な課題を見落としてしまうことがあります。

大切なのは、まず事実を確認し、必要な情報を集め、何を改善すべきかを見極めることです。

すぐに解決できる方法が見つからなくても、期限を設定し、実行と検証を繰り返すことで、解決に近づくことができます。

そして、店長自身がすべての問題を解決するのではなく、チームで問題解決に取り組める環境をつくることも重要です。

まずは、自店舗で繰り返し起きている問題を一つ選び、次の三つを書き出してみてください。

  1. 実際に何が起きているのか
  2. 望む状態との違いは何か
  3. いつまでに何を確認し、どんな行動を取るのか

この小さな整理が、問題の捉え方を変える第一歩になります。

店長成長コーチングでは、経営スキル・コミュニケーション・マインドセットの観点から、店長が問題を適切に捉え、周囲を巻き込みながら改善を進められるよう支援しています。

店長が一人で問題を抱え込む店舗から、スタッフと一緒に考え、改善を続けられる店舗へ。そんな成長を目指したい経営者・店長の方は、ぜひ一度ご相談ください。

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