リピーターが増えない飲食店は「再来店設計」ができていない

営業・マーケティング

飲食店の売上を安定させるうえで、新規客を増やすことはもちろん重要です。しかし、新規客を集め続けなければ売上が維持できない状態になっていると、店舗運営はどんどん苦しくなります。

広告を出して新規客を呼ぶ。SNSで発信する。クーポンを配る。

それでも「なかなかリピーターが増えない」と感じている飲食店は少なくありません。

実は、リピーターが増えない原因は「お客様が満足していない」だけとは限りません。

料理も悪くない。接客にも大きな問題はない。口コミもそこそこ良い。

それなのに、なぜか再来店につながらない。

このような場合に見直したいのが、再来店設計です。

「また来たい」と思ってもらうだけでなく、「また来る」という行動につながるところまで設計できているか。

ここには、店長が単なる現場責任者ではなく、経営者視点を持って店舗を見ることができるかどうかも大きく関係しています。

新規客を集めてもリピーターが増えない3つの弊害

1.毎月、新規客を集め続けなければならない

リピーターが少ない店舗では、売上を作るために常に新しいお客様を獲得しなければなりません。

100人のお客様が来ても、その100人が一度きりなら、翌月にはまた100人を集める必要があります。

一方で、来店したお客様の一部が再来店してくれれば、新規客を獲得する負担は軽くなります。

つまり、リピーターは単なる「売上」ではありません。

過去に獲得したお客様が、もう一度売上を生み出してくれる仕組みでもあります。

2.広告や販促に頼り続けることになる

リピーターが少ないと、広告、クーポン、キャンペーンなどに頼りがちになります。

もちろん、これらは新規客を増やすために有効な手段です。

しかし、新規客を増やしても再来店につながらなければ、獲得したお客様が積み上がっていきません。

「集客しても売上が伸びない」という状態にもつながります。

3.店舗の改善が「新規客を呼ぶこと」に偏る

新規客が増えないと、店舗では「もっと集客しよう」という話になりやすいものです。

しかし、本当に必要なのは新規客を増やすことだけでしょうか。

例えば、

  • 初回来店のお客様が何%再来店しているのか
  • 2回目の来店につながるきっかけは何か
  • 3回目の来店まで進んでいる人はどれくらいいるか
  • どのような接客や商品が再来店につながっているか

こうした数字や行動を見なければ、改善すべきポイントが分かりません。

理想は「また来てください」ではなく「また来る理由」がある状態

リピーターを増やすために、店員が「またお越しください」と声をかける。

これは悪いことではありません。

ただし、それだけで再来店率が大きく変わるわけではありません。

重要なのは、お客様が「次もこの店に来る理由」を持っていることです。

例えば、

「次はあの商品を食べてみたい」

「今度は家族を連れてきたい」

「この店員さんにまた会いたい」

「この店なら安心して食事ができる」

「次回来店するとこんな楽しみがある」

などです。

つまり、リピーターを増やすには、顧客満足だけでなく、その先の再来店まで考える必要があります。

リピーターが増えない会社組織の3つの課題

1.「再来店」をKPIとして見ていない

店舗の数字を見るとき、売上や客数だけを見ていないでしょうか。

もちろん売上は重要です。

しかし、売上だけでは「なぜ売上が増えたのか」「なぜ減ったのか」が分かりません。

例えば、

「今月は売上500万円だった」

という事実だけでは、改善につながりにくいでしょう。

新規客が400人来たのか、リピーターが多かったのか、客単価が上がったのか。

さらに、

「初回来店から2回目に何%進んだのか」

という数字まで見れば、店舗の課題が見えやすくなります。

2.再来店の仕組みを店長任せにしている

「リピーターを増やしておいて」

という指示だけでは、店長も具体的に何をすればよいのか分かりません。

飲食 人材育成の観点からも、目的だけを伝えて終わるのではなく、

「なぜ再来店が重要なのか」

「どの数字を見るのか」

「どのような行動を試すのか」

「結果をどう検証するのか」

まで共有することが重要です。

3.成功事例が店舗内に蓄積されていない

ある店員の接客によってお客様が再来店したとしても、その経験が個人の中だけに残っていれば、店舗全体の力にはなりません。

「何をしたら再来店につながったのか」

を共有し、再現できる形にする。

これが仕組み化です。

店長自身が抱えやすい3つの課題

1.「満足してもらえばまた来る」と考えている

もちろん、満足度は重要です。

しかし、満足したからといって必ず再来店するとは限りません。

日常生活の中には、たくさんの飲食店があります。

「良かった店」と「次も行く店」は、必ずしも同じではありません。

だからこそ、店長は「満足度」だけでなく「再来店行動」まで見る必要があります。

2.2回目、3回目の来店を意識していない

初回来店をゴールにしてしまうと、接客や販促も「今日満足してもらう」ことだけになりがちです。

しかし、店舗経営という視点で考えるなら、

初回来店→2回目→3回目→継続来店

という顧客との関係を考えることが重要です。

一般的にも、3回程度の来店を経験すると、その後の継続的な来店につながりやすくなると考えられています。

だからこそ、最初の1回を「一度きりの売上」で終わらせず、2回目、3回目につなげることが大切です。

3.再来店率を自分の仕事だと思っていない

店長が「集客は本部、売上は会社が決めるもの」と考えてしまうと、店舗でできる改善が減ってしまいます。

もちろん、広告や価格設定など、店長だけではコントロールできないものもあります。

それでも、

  • 接客
  • 商品提供
  • 店内環境
  • お客様との会話
  • 次回来店につながる提案
  • 顧客情報の活用

など、店舗側で改善できることはあります。

店長 経営者視点とは、すべてを自分で決めることではありません。

自分がコントロールできることと、できないことを分け、コントロールできる部分から改善することです。

リピーターを増やすための「再来店設計」5ステップ

では、具体的に何をすればよいのでしょうか。

STEP1 現在のリピート率を測る

まずは現状を把握します。

「リピーターが少ない気がする」

ではなく、

「初回来店のお客様のうち、何%が2回目に来ているのか」

を確認します。

数字が分からなければ、改善したかどうかも判断できません。

STEP2 2回目に来る理由を考える

次に考えるのが、

「なぜ、このお客様はもう一度来るのか?」

です。

商品なのか。

接客なのか。

価格なのか。

立地なのか。

スタッフとの関係性なのか。

家族や友人を連れてきやすいからなのか。

店舗のコンセプトなのか。

できるだけ具体的に洗い出します。

STEP3 2回目の来店理由を意図的に作る

例えば、

「次回は新メニューが始まります」

「次はこの商品がおすすめです」

「次回来店時にはこんな楽しみがあります」

など、お客様が次回来店をイメージできるようにします。

ここで重要なのは、無理に値引きすることではありません。

価格を下げなくても、「次に来る理由」は作れます。

STEP4 3回目までの体験を設計する

2回目の来店があったら、次は3回目です。

「初回→2回目→3回目」

と段階を分けて考えます。

例えば、初回では店舗の魅力を知ってもらう。

2回目では別の商品や別の楽しみ方を知ってもらう。

3回目では「この店を選ぶ理由」が明確になる。

このように顧客との関係を段階的に深めていきます。

STEP5 結果を測定して改善する

最後に、

「何をしたら再来店が増えたのか」

を確認します。

例えば、

「次回来店の案内をしたグループは再来店率が高かった」

「おすすめ商品の提案をしたお客様は2回目につながりやすかった」

など、仮説と結果を比較します。

うまくいかなければ修正する。

うまくいけば標準化する。

この繰り返しによって、再来店の仕組みが店舗に蓄積されていきます。

「売上を上げろ」から「もう一度来てもらう」へ

ある飲食店では、売上を上げるために毎月新規客を増やすことに力を入れていました。

SNS投稿、広告、キャンペーンなどを実施し、一時的には新規客が増えます。

ところが、翌月になるとまた集客が必要になります。

そこで店長と一緒に、売上を構成する要素を分解しました。

すると、新規客の獲得数だけでなく、2回目の来店につながっている割合が低いことが分かりました。

そこで、「どうしたら2回目に来てもらえるか」をスタッフ全員で考えることにしました。

単純に割引券を配るのではありません。

「次に食べてほしい商品」

「季節ごとの楽しみ」

「家族や友人と来たときの利用方法」

など、お客様が次回来店をイメージできる情報を接客の中で伝えるようにしました。

さらに、実施した取り組みと再来店状況を記録。

うまくいった方法をスタッフ間で共有しました。

結果として、店長が「もっとお客様を呼ばなければ」と一人で悩む状態から、

「今月は2回目の来店を増やすために、この施策を試そう」

とスタッフが自分たちで考える状態に変わっていきました。

重要なのは、単にリピーターが増えたことだけではありません。

スタッフが「売上は会社から与えられるものではなく、自分たちの行動によって変えられるもの」と考え始めたことです。

これは店長 当事者意識を育てるうえでも重要な変化です。

最後に

リピーターが増えないとき、「もっと新規客を集めよう」と考えるのは自然なことです。

しかし、その前に確認してほしいことがあります。

一度来てくれたお客様に、もう一度来てもらう仕組みはありますか?

新規客を増やすことには、広告や販促など一定のコストがかかります。

一方、すでに来店してくれたお客様に再来店してもらうためには、店舗の接客や商品、体験、情報提供など、今ある資源を改善できる可能性があります。

だからこそ、リピーターを増やす取り組みは、売上改善の中でも優先的に考えたいテーマです。

そして、店長が見るべきなのは「今月いくら売れたか」だけではありません。

「なぜ来店してくれたのか」

「なぜもう一度来てくれたのか」

「次も来てもらうには何が必要なのか」

ここまで考えられるようになると、店長の仕事は単なる店舗運営から、経営に近づいていきます。

リピーターは、偶然生まれるものではありません。

お客様が「また来たい」と思い、「また来る」という行動につながるまでを設計する。

その仕組みを店長とスタッフが一緒につくっていくことが、安定した店舗経営につながります。

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