「言われたことしかやらない」のはなぜ? スタッフが頑張る理由を持てない組織に共通する3つの課題

基礎

毎日真面目に働いている。

言われた仕事はきちんとこなす。

しかし、自分から工夫したり、お客様のために一歩踏み込んだ行動をしたりするスタッフが少ない。

そんな悩みを抱える店長は少なくありません。

「もっと主体的に動いてほしい。」
「どうすれば仕事にやりがいを感じてもらえるのだろう。」

そう考えた経験がある方も多いでしょう。

しかし、多くの場合、スタッフは最初からやる気がないわけではありません。

頑張る理由が見えていないだけなのです。

人は「何をやるか(What)」や「どうやるか(How)」だけでは長く行動し続けられません。

本当に人を動かすのは、「なぜそれをやるのか(Why)」です。

店舗を営業する理由。

この仕事をする理由。

お客様がそのお店を選ぶ理由。

そして、その仕事が社会にどんな価値を生み出しているのか。

これらが共有されて初めて、仕事は単なる作業ではなく「意味のある活動」へと変わります。

今回は、スタッフが頑張る理由を持てない組織の原因と、店長が取り組むべきことについて考えていきます。


「頑張る理由」がない組織で起こる3つの弊害

① 指示されたことしかやらなくなる

仕事の目的が分からなければ、人は最低限の行動しかしません。

「頼まれたからやる。」

「決められているからやる。」

それ以上でも、それ以下でもありません。

例えば、お客様が困っていても、

「自分の担当ではないので。」

という対応になってしまうのは、責任感がないからではなく、「自分たちが何のために存在しているのか」が見えていないからです。

目的が見えない組織では、自発的な行動は生まれにくくなります。


② 困難に直面すると簡単に諦める

売上が伸びない。

クレームが発生した。

人手不足になった。

仕事には必ず困難があります。

そのとき、「なぜこの仕事をするのか」が明確な人は踏ん張れます。

一方で、理由が分からないまま働いている人は、

「そこまで頑張る必要ある?」

という気持ちになりやすくなります。

Whyは、困難を乗り越えるエネルギーでもあります。


③ 成長よりも時間を過ごすことが目的になる

頑張る理由がなければ、

「今日も終わった。」

「あと何時間で帰れる。」

という働き方になりやすくなります。

もちろん給与は大切です。

しかし、給与だけが働く理由になると、それ以上の成長は期待しにくくなります。

仕事を通して何を実現したいのか。

誰に価値を届けたいのか。

その視点がある組織ほど、人は自然と学び、挑戦し、成長していきます。


理想は「4つのWhy」がつながっている組織

頑張る理由は、一つだけではありません。

強い組織には、少なくとも次の4つのWhyがあります。

① 店を営業するWhy

なぜこの店は存在するのか。

何を提供したいのか。

どんな地域や社会を目指しているのか。

② 働くWhy

スタッフ一人ひとりが、この仕事を通じて何を得たいのか。

成長なのか。

技術なのか。

仲間なのか。

将来への経験なのか。

③ お客様が来店するWhy

お客様は商品だけを買いに来ているのでしょうか。

安心。

便利さ。

楽しさ。

信頼。

どんな価値を期待して来店しているのでしょうか。

④ 社会に対するWhy

自分たちの仕事は社会にどんな価値を提供しているのか。

地域にとってどんな存在なのか。

誰かの生活をどう豊かにしているのか。

この4つがつながったとき、スタッフは仕事の意味を理解し、自ら考えて行動するようになります。


会社組織に潜む3つの課題

① ビジョンや理念が共有されていない

会社には理念がある。

ホームページにも書いてある。

しかし、現場では誰も話題にしない。

これでは存在しないのと同じです。

理念は掲げるものではなく、日々の判断基準として使われるものです。

朝礼やミーティング、面談などで繰り返し言葉にすることが大切です。


② 「何をするか」ばかり伝えている

店舗では、

「今日はこれをやって。」

「この売場を直して。」

「この商品を販売して。」

という指示は多く出ます。

しかし、

「なぜそれをやるのか。」

まで説明されることは意外と少ないものです。

Whyが伝われば、現場の判断力は大きく変わります。


③ 売上だけが目的になっている

もちろん利益は必要です。

会社は利益がなければ継続できません。

しかし、

「売上を上げろ。」

だけでは人は動きません。

売上は目的ではなく、お客様へ価値を提供した結果として生まれるものです。

利益の先にある価値まで共有することが重要です。


店長自身が見直したい3つのポイント

① 自分自身のWhyを語れるか

「なぜ店長をやっているのですか?」

この質問にすぐ答えられるでしょうか。

自分自身が理由を持っていなければ、スタッフへ伝えることはできません。

まずは、自分の働く意味を言葉にしてみましょう。


② スタッフ一人ひとりのWhyを知っているか

全員が同じ理由で働く必要はありません。

生活のため。

成長のため。

夢のため。

家族のため。

どれも立派な理由です。

店長の仕事は、その人自身のWhyと、お店のWhyを結び付けることです。


③ 日々の仕事と未来を結び付けているか

「掃除をしてください。」

ではなく、

「お客様が安心して来店できる店をつくるために掃除をする。」

「笑顔で接客してください。」

ではなく、

「また来たいと思っていただくために笑顔がある。」

こうした一言が、仕事の意味を大きく変えていきます。


「頑張る理由」を育てるための実践法

① 店舗のWhyを全員で言語化する

「私たちは何のために存在するのか。」

この問いを避けないことです。

難しい言葉である必要はありません。

地域のお客様に笑顔を届けたい。

家族が安心して利用できる店をつくりたい。

そんな言葉でも十分です。


② Whyを繰り返し伝える

一度話しただけでは伝わりません。

朝礼。

ミーティング。

面談。

成功事例の共有。

あらゆる場面でWhyを伝え続けます。

人は繰り返し聞いたことを、自分の価値観として受け入れるようになります。


③ スタッフ自身の目標と結び付ける

仕事だけの目標ではなく、

「半年後に何ができるようになりたい?」

「将来どんな自分になりたい?」

そんな会話を増やしましょう。

店舗の目標と個人の成長目標が重なったとき、人は「やらされる仕事」ではなく、「自分のための仕事」と感じられるようになります。


【事例】理念を共有したことで主体性が生まれた飲食店

ある飲食店では、「もっと主体的に動いてほしい」という悩みを抱えていました。

店長は毎日細かく指示を出していましたが、スタッフは言われたことしかしません。

そこで店長は、朝礼の内容を変えました。

売上報告ではなく、

「今日はどんなお客様に喜んでもらいたいか。」

「私たちがこの店を続ける理由は何か。」

という話を毎日5分間続けたのです。

さらに月に一度、一人ひとりと面談を行い、

「この仕事を通じて何を得たい?」

という質問を続けました。

数か月後、スタッフから改善提案が増え、お客様への気配りも自然と生まれるようになりました。

店長が変えたのは指示の量ではありません。

仕事の意味を共有する時間だったのです。


最後に

スタッフは「もっと頑張れ」と言われて頑張るわけではありません。

「頑張る理由」があるから頑張れるのです。

だからこそ店長には、仕事の目的を語る役割があります。

なぜこの店を営業するのか。

なぜ自分たちはここで働くのか。

なぜお客様は私たちを選んでくださるのか。

そして、私たちの仕事は社会にどんな価値を届けているのか。

この4つのWhyが組織に浸透すると、スタッフは「働かされる人」から「価値を届ける人」へと変わっていきます。

人は給料だけで長く動き続けることはできません。

しかし、自分の仕事に意味を見出したとき、その成長は想像以上に大きなものになります。

店長の仕事とは、仕事を管理することだけではありません。

一人ひとりが「ここで頑張りたい」と思える理由を育て、組織全体のWhyを未来へつないでいくことなのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました