店長が集客しないと売れない?「集客が店長依存」から抜け出す飲食店の仕組みづくり

営業・マーケティング

「この店は店長がいるとお客様が来るけれど、店長が変わると売上が落ちる」

「店長がSNSを頑張っている間は集客できるけれど、忙しくなると投稿が止まる」

「本社からキャンペーンが来ないと、店舗独自の集客施策がほとんどない」

こうした状態に心当たりはないでしょうか。

飲食店にとって店長が集客に積極的なのは、決して悪いことではありません。むしろ、地域のお客様との関係を作り、店舗の魅力を発信する店長は大きな戦力です。

しかし、その集客が店長個人の能力や頑張りに依存しているとなると、話は変わります。

店長が休めば集客が止まる。店長が異動すれば売上が落ちる。店長が辞めれば、店舗の顧客まで離れてしまう。

これは「優秀な店長がいる」という問題ではなく、集客の仕組みが不足しているという組織の問題です。

特に多店舗展開を目指す飲食店では、店長一人の力ではなく、店舗全体で集客を考えられる状態を作ることが重要です。

この記事では、集客が店長依存になってしまう原因と、店長自身ができる改善策について解説します。

集客が店長依存になると起こる3つの弊害

1.店長が変わると売上まで変わってしまう

店長が地域のお客様との関係を築き、SNSを運用し、キャンペーンを考え、口コミを増やしている。

一見すると素晴らしい店舗です。

ところが、その店長が異動した途端に、

「以前ほどお客様が来なくなった」

「SNSの投稿が減った」

「常連のお客様との関係が薄くなった」

ということが起こる場合があります。

つまり、店舗の集客力ではなく、店長個人の集客力に売上が依存していたのです。

「店長 辞める」という状況になれば、さらに影響は大きくなります。

2.店長が集客業務に追われ、本来の仕事ができなくなる

店長が集客のほとんどを担当していると、当然ながら時間が奪われます。

SNSの投稿、販促物の作成、口コミへの対応、イベント企画、地域への営業など。

これらをすべて店長がやっていると、

「スタッフ育成をする時間がない」

「店舗の改善に手が回らない」

「数字を分析する時間がない」

という状況になりかねません。

本来、店長は「自分が何でもやる人」ではなく、人と仕組みを通じて店舗の成果を作る人です。

3.店舗ごとの集客力に大きな差が生まれる

店長の能力に依存すると、店舗ごとの成果にばらつきが出ます。

A店は店長がSNSに強いから集客できる。

B店は店長が人付き合いが得意だから紹介が多い。

C店は店長が販促に興味がないため、新規客が少ない。

これでは多店舗展開しても、店舗数に比例して経営が楽になるとは限りません。

むしろ、店舗数が増えるほど「店長次第」という問題が大きくなってしまいます。

理想は「店長が集客する店」から「店舗で集客できる店」へ

もちろん、店長が集客をしなくてよいという意味ではありません。

むしろ店長には、集客を自分ごととして考える当事者意識が必要です。

ただし、

「店長が全部やる」

のではなく、

「店長が中心となって、店舗全体で集客する」

状態を目指します。

例えば、

  • 店長が集客戦略を考える
  • スタッフからアイデアを集める
  • SNS投稿を分担する
  • お客様の声を共有する
  • 来店理由を分析する
  • 地域との接点をスタッフ全員で増やす
  • 成果を数字で確認する

といった形です。

これは「飲食 人材育成」の観点でも重要です。

スタッフを単に「接客をする人」と考えるのではなく、店舗を成長させるメンバーとして育てることで、集客そのものが人材育成の機会になります。

集客が店長依存になる会社組織の3つの課題

1.集客の仕組みが整っていない

最も大きな原因は、仕組み不足です。

「集客を頑張りましょう」

という掛け声はあっても、

「誰が、いつ、何をするのか」

が決まっていない。

そのため、積極的な店長がいれば動くものの、そうでなければ何も起きません。

例えばSNSなら、

  • 何を目的に投稿するのか
  • 誰に向けて発信するのか
  • 何を投稿するのか
  • 週何回投稿するのか
  • 誰が担当するのか
  • どの数字を見るのか

まで決める必要があります。

2.本社からの販促を待つ文化になっている

チェーン店の場合、本社からキャンペーンや販促物が提供されることも多いでしょう。

もちろん、本社のマーケティング機能を活用することは重要です。

ただ、

「本社から何か来ないと集客できない」

という状態は危険です。

本社の施策と店舗独自の施策は、両立できます。

むしろ店長には、

「本社の施策を待つだけでなく、自店でできることは何か?」

と考えてほしいところです。

3.集客活動を評価・共有していない

集客活動をしても、

「結局、何人来たの?」

「売上につながったの?」

が分からなければ、改善できません。

例えば、

SNS投稿→問い合わせ→来店

という流れがあったとしても、それを記録していなければ、何が効果的だったのか分かりません。

「頑張ったかどうか」ではなく、どの活動が結果につながったのかを見ることが必要です。

店長自身が抱えやすい3つの課題

1.「自分がやった方が早い」

店長として経験を積むほど、こう考えやすくなります。

「スタッフに任せるより自分でやった方が早い」

確かに短期的にはその通りかもしれません。

しかし、それを続けるとスタッフは集客を経験できません。

結果として、

「集客は店長の仕事」

という状態が固定されます。

2.集客を「販促担当の仕事」と考えてしまう

集客というと、広告やSNSなどをイメージしがちです。

しかし、飲食店の場合、集客はもっと広い概念です。

料理、接客、店内の雰囲気、口コミ、地域との関係、お客様との会話。

これらすべてが「また来たい」「誰かに教えたい」という理由につながります。

店長には、広告だけを見るのではなく、店舗そのものを集客装置として考える経営者視点が求められます。

3.集客を一時的なイベントとして考える

「今月売上が厳しいからキャンペーンをやろう」

という発想だけでは、継続的な集客にはなりません。

大切なのは、

「この店には、なぜお客様が来るのか?」

「どんなお客様に来てほしいのか?」

「一度来たお客様に、なぜもう一回来てもらえるのか?」

を考えることです。

店長依存から抜け出すための4つのステップ

STEP1:まず「集客が店長依存している仕事」を洗い出す

最初から仕組みを作ろうとする必要はありません。

まず、

「店長が休んだら止まる集客活動は何か?」

を洗い出します。

例えば、

  • SNS投稿
  • LINE配信
  • 顧客への案内
  • 口コミ依頼
  • 地域イベントへの参加
  • 新商品の告知
  • キャンペーン企画

などです。

STEP2:店舗でできる集客をスタッフと考える

次に、スタッフを巻き込みます。

「今月、新規のお客様を増やすなら何ができる?」

「この地域のお客様に、もっと知ってもらうには?」

「一度来たお客様に、また来てもらうには?」

など、答えを店長だけで決めないことがポイントです。

スタッフ自身が考えることで、集客に対する当事者意識が生まれます。

STEP3:小さな施策から仕組みにする

いきなり大きな広告を打つ必要はありません。

例えば、

「毎週1回、スタッフがおすすめ商品をSNSで紹介する」

「常連客に新商品の情報を案内する」

「来店したお客様に次回来店のきっかけを作る」

といった小さな施策から始めます。

そして、効果があったものを標準化します。

STEP4:数字を見て改善する

最後に、

「何をしたら、何が変わったか」

を確認します。

例えば、

SNS投稿数

問い合わせ数

新規来店数

再来店数

売上

というように、集客から売上までの流れを確認します。

これを繰り返すことで、「頑張っている店長」から「集客を改善できる店長」へと成長していきます。

【事例】店長が休むと新規客が減る店舗が変わった方法

ある飲食店では、店長が地域のお客様との関係を非常に大切にしていました。

近隣の会社への挨拶、SNS投稿、常連客への新商品の案内など、ほとんどの集客活動を店長が担当していました。

その結果、店長が勤務しているときは売上が好調です。

しかし、店長が休暇を取ると集客活動が止まります。

最初は、

「店長が優秀だから仕方ない」

と考えられていました。

そこで、店長が普段やっていることを一つずつ書き出しました。

すると、

「毎週SNSを投稿している」

「新商品が出たら常連客に案内している」

「近隣企業のお客様には新しいランチ情報を伝えている」

など、意外と多くの仕事が「店長の頭の中」にあることが分かりました。

そこで、すべてを一度に任せるのではなく、スタッフに一つずつ移管しました。

SNSはスタッフ2人で担当。

新商品の案内は、営業終了後に対象となるお客様を確認。

地域への情報発信は月1回、スタッフ全員でアイデアを出す。

こうして少しずつ分担しました。

すると、スタッフからも、

「この商品をこう紹介したらどうですか?」

「近くの会社にこんな案内をしたらいいのでは?」

という提案が出るようになりました。

店長がすべてのアイデアを出す必要がなくなったのです。

さらに重要だったのは、スタッフが集客を「自分の仕事」と考えるようになったことです。

店長は集客担当者から、集客を考える人を育てるマネージャーへと役割を変えていきました。

最後に

集客が店長依存になっている店舗では、店長を責める必要はありません。

むしろ、店長が頑張ってきたからこそ今の売上がある場合も多いでしょう。

問題は、その頑張りを店舗の仕組みに変えられているかです。

本社依存の店舗もあるでしょう。

本社の広告や販促を活用することも、もちろん大切です。

しかし、本社の施策を待つだけではなく、

「自店でできることは何か?」

を考えることも、店長にとって重要な取り組みです。

集客は、店長一人の仕事ではありません。

店長が方向性を示し、スタッフがアイデアを出し、店舗全体で実行し、数字を見ながら改善する。

そんな状態を作ることができれば、店長が変わっても、休んでも、集客が止まりにくい店舗になります。

そしてこれは、単なる集客改善ではありません。

店長に依存しない組織を作ることそのものが、多店舗展開を実現するための重要な人材育成なのです。

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