― 強い店長は、“感覚で評価する人”ではなく、“数字で改善を導く人”である ―
「もっと頑張ろう」
「接客を良くしよう」
「お客様を増やそう」
店舗運営ではよく聞く言葉です。
しかし、こうした言葉だけで成果が出るなら、多くの店舗は苦労しません。
実際には、
頑張っているのに成果が出ない。
忙しいのに売上が上がらない。
教育しているのに人が育たない。
そんなことが起こります。
なぜでしょうか。
理由は単純です。
何をどれだけやれば成果につながるのかが見えていないからです。
そこで必要になるのが、
KPI(重要業績評価指標)
です。
KPIは単なる数字ではありません。
店舗の未来を実現するための「行動のものさし」です。
KPIとは何か
KPIとは、
Key Performance Indicator
の略で、
重要業績評価指標
と呼ばれます。
簡単に言えば、
目標達成の途中経過を測る数字
です。
例えば、
月商500万円
という目標があるとします。
これは最終結果です。
しかし、
月末になって初めて結果を見るのでは遅い。
そこで、
・来店客数
・客単価
・リピート率
・口コミ件数
・おすすめ商品の販売数
などを測定します。
これらがKPIです。
KPIとKGIの違い
店長が理解すべき重要な考え方があります。
それが
KPIとKGIの違い
です。
KGIは最終目標です。
例えば、
・月商500万円
・営業利益率10%
・年間離職率10%以下
など。
一方でKPIは、
KGI達成のために管理する数字です。
例えば、
月商500万円を達成したいなら、
・来店客数
・成約率
・客単価
・リピート回数
などがKPIになります。
つまり、
KGIは目的地。
KPIは目的地までの道しるべです。
役職契約書の次にKPIが来る理由
前回までで、
組織図を作り、
役職契約書を作り、
それぞれの役割を明確にしました。
しかし、
役割だけでは十分ではありません。
例えば、
ホールリーダー
という役職があったとしても、
何をもって成果とするのか
が曖昧なら改善できません。
そこでKPIが必要になります。
役職契約書が
「何をやるか」
を定義するものだとしたら、
KPIは
「どこまでできているか」
を測るものです。
「これは数字にできない」は本当か?
KPIの話をすると、
よくこんな声を聞きます。
「接客は数字にならない」
「教育は数字にできない」
「人間相手だから無理」
しかし、多くの場合、
数字にできないのではなく、
数字にする努力をしていないだけです。
例えば、
接客品質なら、
・顧客アンケート
・口コミ評価
・指名件数
・クレーム件数
で測れます。
教育なら、
・新人独り立ち日数
・教育完了率
・離職率
・テスト結果
で測れます。
大切なのは、
結果を測る方法を考えることです。
飲食店で活用できるKPIの例
例えばホール担当。
・お客様アンケート評価
・おすすめ商品提案数
・クレーム件数
・口コミ獲得件数
例えばキッチン担当。
・提供時間
・商品ロス率
・仕込み精度
・衛生チェック達成率
例えば店長。
・売上
・利益率
・離職率
・教育進捗率
・KPI達成率
役割ごとに設定することで、
改善ポイントが明確になります。
標準KPIと成長KPIを分ける
ここは非常におすすめです。
KPIを作るときは、
標準KPI
と
成長KPI
に分ける考え方があります。
標準KPI
最低限守るべき基準
例えば、
・遅刻ゼロ
・クレーム月3件以下
・衛生チェック100%
など。
成長KPI
さらに成長するための指標
例えば、
・客単価向上
・提案販売率向上
・リピート率向上
など。
これにより、
現状維持と成長の両方を管理できます。
KPIは必ずKGIにつながっているか確認する
ここが非常に重要です。
KPIを設定すると、
数字遊びになることがあります。
例えば、
SNS投稿数
をKPIにしたとします。
しかし、
投稿数が増えても来店が増えなければ意味がありません。
だから、
常に確認する必要があります。
「このKPIは何のためにあるのか?」
「最終目標につながっているのか?」
KPIは多ければ良いわけではありません。
成果につながる数字を選ぶことが重要です。
ActionCOACHが重視する「測定されるものは改善される」
ビジネスの世界では有名な考え方があります。
「測定されるものは改善される」
です。
人は見ている数字を改善しようとします。
逆に言えば、
測定していないものは改善できません。
例えば、
クレーム件数を記録していなければ、
改善もできません。
リピート率を見ていなければ、
増えたのか減ったのかも分かりません。
だから、
まず測る。
その後に改善する。
これが原則です。
KPIを理解した瞬間、店長のステージは変わる
多くの店長は、
現場のプレイヤーとして優秀です。
しかし、
店長として大きく成長する人には共通点があります。
それは、
数字で店舗を見るようになることです。
感覚で見るのではない。
数字で見る。
問題を発見する。
改善する。
再度測定する。
このサイクルを回せるようになると、
店長の役割は
「現場作業者」
から
「経営者」
へ近づいていきます。
KPI運用で失敗する店舗の特徴
最後に注意点です。
KPIは設定しただけでは意味がありません。
失敗する店舗には共通点があります。
・数字を集めるだけ
・報告だけで終わる
・改善会議をしない
・誰も見ていない
・毎月違う数字を見る
これでは仕組みになりません。
重要なのは、
記録する
見る
話し合う
改善する
を繰り返すことです。
店長の役割は「管理者」から「数字で成長を設計する人」へ
これからの店長に求められるのは、
気合いや根性だけではありません。
数字を理解し、
数字で現場を改善し、
数字で人を育てる力です。
組織図を作る。
役職契約書を作る。
KPIを設定する。
測定する。
改善する。
再び測定する。
この流れができたとき、
店舗は店長個人の能力ではなく、
仕組みで成長するようになります。
そしてその瞬間、
店長は単なる現場責任者ではなく、
店舗経営者としての視点を持ったリーダーへと成長していくのです。
最後に
もし今、
「みんな頑張っているのに成果が見えない」
と感じているなら、
ぜひ考えてみてください。
「私たちの店舗では、本当に重要な数字を測定しているだろうか?」
その問いから、
店長は感覚のマネジメントを卒業し、
数字で成長を再現できるリーダーへ変わり始めます。


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