店長育成の本質は「ルールで縛ること」ではなく「ルールの中で自由に成果を出せる人を育てること」にある

ゲームのルール

― ゲームのルールがあるからこそ、組織は自律的に成長できる ―

店長育成について話をしていると、

「もっと主体的に動いてほしい」

「言われなくても考えて行動してほしい」

という相談をよく受けます。

一方で、その会社のルールを見てみると、

  • 判断基準が曖昧
  • やって良いことと悪いことが不明確
  • 店長ごとに言うことが違う
  • 現場判断の範囲が決まっていない

というケースも少なくありません。

これでは主体性を求められても、現場は動けません。

なぜなら、

自由と放任は違うからです。

スポーツにもルールがあります。

サッカーにはフィールドの範囲があります。

野球にはストライクゾーンがあります。

ボードゲームには勝敗を決めるルールがあります。

ルールがあるからこそ、人は自由にプレーできます。

組織も同じです。

ActionCOACHの組織・人材の考え方では、

  • 強いリーダーシップ
  • 共通のゴール
  • ゲームのルール
  • アクションプラン
  • リスクテイクの後押し
  • 100%参加

という6つの要素が組織成長を支えるとされています。

今回はその中の「ゲームのルール」について解説します。


ゲームのルールとは何か

ゲームのルールとは、

組織として守るべき基準や判断の枠組みを定めること

です。

重要なのは、

「細かく縛ること」

ではありません。

むしろ逆です。

ルールの目的は、

自由に行動できる範囲を明確にすること

です。

例えば、

店舗運営では次のようなことが考えられます。

  • 法令違反はしない
  • 食品衛生基準は必ず守る
  • ハラスメントは禁止
  • 金銭管理ルールは守る
  • お客様への虚偽説明は禁止

こうした最低限のルールは絶対に守る。

しかしその範囲内であれば、

  • どう接客するか
  • どう改善するか
  • どう売上を伸ばすか

については自由に工夫してよい。

これがゲームのルールです。


なぜゲームのルールが必要なのか

事業の成長とは、

経営者一人が頑張ることではありません。

組織全体が成果を出せる状態を作ることです。

そのためには、

現場が自分で判断し、

自分で行動できる必要があります。

しかし、

判断基準がなければ人は動けません。

逆に、

ルールが細かすぎても人は動けません。

だからこそ、

「ここまでは自由」

「ここから先は禁止」

という境界線が必要なのです。


ゲームのルールがない店舗で起こる問題


店長によって運営が変わる

A店長の時はOK。

B店長になるとNG。

店舗によってルールが違う。

こうした状態は組織の信頼を損ないます。

特に多店舗展開では大きな問題になります。


スタッフが判断できない

何を基準に判断すれば良いか分からない。

だから確認する。

だから待つ。

だから店長依存になる。

結果として、

組織の成長スピードが遅くなります。


問題が発生した時に揉める

ルールが曖昧だと、

問題発生時に責任論になります。

「聞いていない」

「そんなルール知らない」

「前はOKだった」

こうした対立が起きやすくなります。


不正や事故が起きやすくなる

内部統制の観点ではさらに深刻です。

金銭管理。

個人情報管理。

発注権限。

値引き権限。

現金管理。

これらのルールがない組織では、

不正やトラブルが起こるリスクが高まります。


ゲームのルールが作れない主な原因


信頼していない

意外かもしれませんが、

ルールが多すぎる組織は、

人を信頼できていない場合があります。

問題が起きるたびにルールを増やす。

結果として、

誰も読まないマニュアルが完成します。


逆に放任している

「うちは自由だから」

という言葉も危険です。

自由と無秩序は違います。

基準がなければ、

組織ではなく個人商店の集まりになります。


ゴールが共有されていない

前回のテーマである「共通のゴール」が曖昧だと、

どんなルールが必要なのかも決まりません。

ルールは目的達成のために存在します。

目的がなければルールも機能しないのです。


良いゲームのルールとは何か


少なく、明確である

良いルールは覚えられます。

悪いルールは読まれません。

例えば、

「お客様を騙さない」

「仲間を尊重する」

「食品衛生を守る」

など、

シンプルな原則の方が浸透します。


ゴール達成に結びついている

ルールのためのルールは不要です。

そのルールは、

売上向上に役立つのか。

品質向上に役立つのか。

安全性向上に役立つのか。

常に問い直す必要があります。


自由裁量を残している

例えば接客。

挨拶は必須。

笑顔は必須。

失礼な言葉は禁止。

ここまではルール。

しかし、

お客様との会話内容まで完全に決める必要はありません。

むしろ個性を活かした方が良い結果になることもあります。


店長への指導方法


ルールの目的を説明する

「守れ」

だけでは浸透しません。

なぜそのルールが必要なのか。

どんな問題を防ぐのか。

どんな成果につながるのか。

ここまで説明する必要があります。


判断基準を教える

細かいケースを全て教えることはできません。

だからこそ、

判断基準を教えます。

例えば、

「お客様にとってプラスか」

「会社の信用を損なわないか」

「安全性は確保されているか」

などです。


裁量を与える

ルールを守るだけの人材は育ちません。

ルールを理解した上で工夫できる人材を育てる必要があります。

そのためには、

一定の権限委譲が必要です。


定期的に見直す

ルールは作ったら終わりではありません。

事業環境は変化します。

スタッフも変わります。

お客様も変わります。

だからゲームのルールも定期的に見直す必要があります。


まとめ

組織の成長には、

自由な発想と主体的な行動が必要です。

しかし、

自由だけでは組織はまとまりません。

一方で、

ルールだけでも組織は成長しません。

大切なのは、

守るべきラインを明確にしながら、

その中で自由に成果を追求できる環境を作ることです。

これがActionCOACHでいう「ゲームのルール」の考え方です。

強いリーダーシップが方向を示し、

共通のゴールが目的地を示し、

ゲームのルールが行動範囲を示す。

ここまで揃うと、

組織は管理される集団から、

自律的に成果を生み出すチームへ変わり始めます。

もし店舗運営で悩んでいるなら、一度考えてみてください。

「うちの店舗には、自由に動けるためのルールがあるだろうか。それとも、ルールがないから動けないのか。あるいはルールが多すぎて動けないのか。」

その問いへの答えが、組織成長の次の一歩になるはずです。

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