― 強い店長は、“売上を見る人”ではなく、“売上をつくる指標を動かせる人”である ―
「今月の売上、あと50万円足りません」
店長から、
こんな報告を受けることがあります。
もちろん、
これは大事な数字です。
でも、
ここで経営者として感じることがあります。
「で、何を変えればいいの?」
売上が足りない。
それは“結果”です。
でも、
本当に見るべきは、
「その結果を生んでいる要因」
です。
例えば、
客数が足りないのか。
客単価が低いのか。
リピート率が落ちているのか。
ここが分からなければ、
対策は打てません。
この「要因」を見える化するのが、
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
です。
店長育成において、
このKPIを理解し、
設定し、
運用できるようになることは、
「作業責任者」から
「経営責任者」へ変わる大きな一歩です。
今日は、この「KPI」について考えてみたいと思います。
なぜ店長に「KPI」が必要なのか
店長の仕事は、
結果責任です。
売上。
利益。
人材育成。
顧客満足。
どれも結果です。
でも、
結果だけを見ていても、
改善はできません。
なぜなら、
結果は「過去」
だからです。
例えば、
今月の売上が悪かった。
これはもう変えられません。
でも、
来店数を増やす。
リピート率を上げる。
客単価を上げる。
これは変えられます。
つまり、
KPIとは、
未来を変えるための数字
なのです。
KPIを知らない店長に起きること
では、
KPIを理解していないと、
何が起きるのでしょうか。
① 売上だけを見る
「売上が足りない」
で終わります。
原因が分からないので、
対策が精神論になります。
「もっと頑張ろう」
これは危険です。
② 打ち手が場当たり的になる
客数が減ったら値引き。
売上が落ちたら販促。
これでは、
本質的な改善になりません。
③ チームが動かない
スタッフに
「売上を上げよう」
と言っても、
何をすればいいか分かりません。
KPIがないと、
行動に落ちません。
KPIとは何か
KPIをシンプルに言うと、
「結果を生む途中の数字」
です。
例えば、
最終目標が
「月商500万円」
だとします。
そのためには、
客数 × 客単価
が必要です。
さらに分解すると、
客数 = 新規客 + リピート客
客単価 = 注文点数 × 平均単価
ここまで分けると、
何を改善すべきかが見えます。
これがKPIです。
ActionCOACH的に言うと「KPIはドライバーである」
ActionCOACHでは、
「売上」「利益」「顧客数」は重要だが、
それは“結果”であり、
KPIは“ドライバー(運転要素)”である
と考えます。
例えば、
「月の売上」は結果。
でも、
・見込み客数(Leads)
・成約率(Conversion Rate)
・平均客単価(Average Sale)
・平均購入頻度(Repeat Purchase)
これらは、
自分たちの行動で変えられる。
つまり、
KPIとは、
ハンドルを握るための数字
なのです。
店長が見るべき代表的KPI
飲食店なら、
まずこのあたりです。
① 客数
何人来たか。
最も基本です。
② 客単価
一人あたりいくら使ったか。
追加注文の力が見えます。
③ リピート率
また来てくれたか。
長期的な強さを表します。
④ 原価率
仕入れ効率。
利益に直結します。
⑤ 人件費率
人の使い方。
店長力が出ます。
⑥ NPS・顧客満足
数字化しにくいですが、
非常に重要です。
「適切なKPI設定」が重要な理由
ここが本題です。
KPIは、
何でも設定すればいいわけではありません。
よくある失敗があります。
失敗① 指標が多すぎる
10個も20個も見る。
結果、
誰も見なくなります。
おすすめは、
3〜5個
です。
失敗② 結果指標しかない
「売上」「利益」だけ。
これでは遅い。
行動につながりません。
失敗③ 現場で動かせない数字
例えば、
「会社全体利益率」
店長には遠すぎます。
店長が日々変えられる数字にすること。
これが重要です。
良いKPI設定の3条件
私は、
良いKPIには3条件あると思っています。
① 行動で変えられる
店長やスタッフが動けること。
② 毎日・毎週見られる
月末だけでは遅い。
頻度が大事です。
③ シンプルで分かりやすい
誰でも理解できること。
現場で使えること。
店長にKPIを教える3つの方法
では、どう育てるか。
① 売上を分解する
まずは、
売上 = 客数 × 客単価
から始める。
これだけでも変わります。
② 毎週レビューする
「どのKPIが動いたか?」
を見る。
数字が会話になります。
③ スタッフにも共有する
店長だけが知っていても弱い。
現場全体で見る。
例えば、
「今週は客単価強化週間」
これでチームが動きます。
店長の役割は「結果を見る人」から「結果を設計する人」へ
これからの店長に必要なのは、
売上報告
ではありません。
必要なのは、
結果をつくる仕組みを管理すること
です。
何が結果を生み、
どこを動かせば変わるのか。
これを理解している店長は強い。
つまり店長は、
「結果観察者」
ではなく、
結果設計者
なのです。
最後に
店長育成というと、
つい
接客、教育、数字管理
に目が向きます。
もちろん大切です。
でも、
本当に重要なのは、
「何の数字を見るか」
です。
KPIを変えると、
会話が変わります。
行動が変わります。
成果が変わります。
もし今、
「店長が売上しか見ていない」
と感じているなら、
ぜひ、この問いを投げてみてください。
「その売上を変えるために、今週どの数字を動かしますか?」
その問いから、
店長は“結果を追う人”から“成果を設計するリーダー”へ変わり始めます。


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