― 強い店長は、“どこまで売ればいいか”ではなく、“どこを下回ってはいけないか”を知っている ―
「今月、売上がちょっと厳しいですね」
店長との会話で、
よく出てくる言葉です。
でも、そのとき私はよくこう聞きます。
「ちなみに、最低いくら必要か分かっていますか?」
すると、
意外と返ってくるのは、
「目標売上は知っています」
という答えです。
もちろん、
目標売上は大切です。
でも、
その前に知っておくべき数字があります。
それが、
損益分岐点
です。
つまり、
「ここを下回ると赤字になる」
というラインです。
多くの店長は、
「売上目標」は知っています。
でも、
「最低限必要な売上」
を知らない。
これは、
例えるなら、
燃料計を見ずに車を運転しているようなものです。
どこまで走れるか分からない。
危険です。
店長育成において、
「お金の基礎」として絶対に押さえたいのが、
損益分岐点の理解
です。
今日は、店長育成における「損益分岐点」の重要性について考えてみたいと思います。
なぜ店長に「損益分岐点」が必要なのか
店長は、
日々いろいろな判断をしています。
今日は何人シフトを入れるか。
どの販促を打つか。
値引きをするか。
仕込み量を増やすか。
この判断はすべて、
「お金」
に影響します。
でも、
その判断の土台になる数字を知らなければ、
勘に頼るしかありません。
例えば、
「今日は売上が30万円だった」
これだけ聞いても、
良いのか悪いのか分かりません。
でも、
「損益分岐点は25万円」
と分かっていれば、
「今日は利益が出ている」
と判断できます。
逆に、
「損益分岐点は35万円」
なら、
「今日は赤字だ」
と分かる。
つまり、
損益分岐点は、
経営判断の基準線
なのです。
損益分岐点を知らない店長に起きること
では、
知らないと何が起きるのでしょうか。
① 売上の良し悪しが分からない
「今日は忙しかった」
でも、
利益が出ているとは限りません。
忙しさと利益は別です。
損益分岐点を知らないと、
感覚で判断してしまいます。
② 必要以上に焦る
売上が少し落ちただけで、
「まずい!」
と焦る店長がいます。
でも、
実はまだ利益が出ているかもしれない。
基準がないと、
無駄に不安になります。
③ 危機察知が遅れる
逆に、
「なんとかなる」
と思っていたら、
実は赤字が続いていた。
これは危険です。
損益分岐点は、
“早期警報装置”
でもあります。
損益分岐点とは何か
シンプルに言うと、
「利益がゼロになる売上ライン」
です。
利益がプラスでもなく、
マイナスでもない。
ちょうどゼロ。
ここを超えると黒字。
下回ると赤字。
式で表すと、
損益分岐点売上=1−変動費率固定費
少し難しく見えるかもしれませんが、
考え方はシンプルです。
例えば、
家賃、人件費などの固定費が100万円。
売上のうち、
材料費など変動費が50%。
すると、
損益分岐点は200万円。
つまり、
200万円売って、
ようやくゼロ。
201万円で、
やっと利益が出ます。
ここを知るだけで、
経営の見え方が変わります。
店長が知るべき「3つの損益分岐点」
飲食店では、
損益分岐点にもレベルがあります。
① 月間損益分岐点
最も基本です。
「今月いくら必要か」
これを知らない店長は危険です。
② 日次損益分岐点
月だけでは遅い。
例えば、
月間300万円必要なら、
1日10万円必要かもしれない。
日で見ると、
行動が変わります。
③ 時間帯別損益分岐点
ランチは黒字か。
ディナーはどうか。
ここまで見ると、
改善ポイントが見えます。
強い店長は「最低ライン」を知っている
成果を出す店長には共通点があります。
それは、
最低ラインを知っている
ことです。
例えば、
「今日は平日だから15万円必要」
「今の時点で8万円、あと7万円」
こう考えています。
すると、
追加販促を打つ。
スタッフ配置を変える。
声かけを強化する。
判断が早い。
つまり、
損益分岐点を知ると、
行動が具体化する
のです。
なぜ店長は損益分岐点が苦手なのか
理由は大きく3つあります。
① 難しそうに見える
言葉が難しい。
「損益分岐点」
漢字も多い(笑)
でも、
やっていることはシンプルです。
「最低いくら必要か」
それだけです。
② 本部の数字だと思っている
「それは経営者の仕事」
と思われがちです。
違います。
店長こそ、
知るべき数字です。
③ 現場とつながっていない
数字だけを見ると、
難しい。
でも、
シフト。
原価。
客単価。
全部つながっています。
そこを結びつける必要があります。
店長に損益分岐点を教える3つの方法
では、どう育てるか。
① まずは「日次」に落とす
月間だけでは遠いです。
「今日は何万円必要か」
ここから始める。
② 毎朝確認する
朝礼で、
「今日の損益分岐点は○万円」
これを言うだけでも、
意識が変わります。
③ 行動と結びつける
例えば、
客単価を100円上げるとどうなるか。
ロスを減らすとどうなるか。
数字を現場の行動に変換する。
これが重要です。
店長の役割は「売上管理者」から「収益管理者」へ
これからの店長に必要なのは、
売上を見ること
だけではありません。
必要なのは、
「収益を守ること」
です。
どこが最低ラインか。
どこから利益が出るか。
これを理解している店長は強い。
つまり店長は、
「売上管理者」
ではなく、
収益管理者
なのです。
最後に
店長育成というと、
つい
接客やマネジメント
に目が向きます。
もちろん大切です。
でも、
経営者視点を育てるなら、
避けて通れない数字があります。
それが、
損益分岐点
です。
この数字を知るだけで、
景色が変わります。
忙しさではなく、
経営で現場を見るようになります。
もし今、
「店長にもっと経営視点を持ってほしい」
と感じているなら、
ぜひ、この問いを投げてみてください。
「今日、最低いくら売らないと赤字か、言えますか?」
その問いから、
店長は“売上を見る人”から“経営を考えるリーダー”へ変わり始めます。


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